内容説明
近年では織田信長は具体的な政策実践を決定せず、配下の部将に多くが一任されていたと考えられるようになった。各部将は信長の権威を背景に、それぞれの経験や人間的魅力を駆使して、新たな支配地の国衆を調略していった。交わされた書状類を丹念に読み込み、近江国志賀郡・丹波国領主から本能寺の変に至った明智光秀の人物像に迫る。
目次
第1章 美濃・越前・京(光秀の出自と飛躍;義昭と信長のあいだ)
第2章 光秀の近江支配(志賀の陣;志賀郡支配と比叡山焼き討ち ほか)
第3章 光秀の丹波攻略(丹波攻略の始まり;荻野直正との対決 ほか)
第4章 光秀の分国支配(丹波攻略の完了;細川藤孝の丹後移封と光秀 ほか)
第5章 本能寺の変と山崎合戦(本能寺の変前夜;本能寺への道 ほか)
著者等紹介
福島克彦[フクシマカツヒコ]
1965年兵庫県生まれ。88年立命館大学文学部卒業。大山崎歴史資料館館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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如水
25
もうすぐ大河の主役となる明智光秀の研究文書?みたいなモノ。居城で有った坂本城を建てた意味や後の自領地となった丹波国の興亡、統治方法等が描かれてます。面白かったのは出身が美濃明智では無く近江出身説。確かに後の統括方法や信長を導いた道筋を考えれば当て嵌まる様な気がしないでも無い。まぁ美濃出身の方がロマンは有ります💧後、軍統制。巨大化する織田軍の一翼を担う方法として『法』は大事だと思いますが、それをいち早く取り入れたと考えるならば信長の絶大な信用とキレ者で有る事は分かります。色んな想いを馳せて読むには一興な本2019/09/14
niwanoagata
14
近江、丹波を中心に光秀を解説した本。 本の性質上からか全くと言っていいほど著者の意見が入っていないように思えた。議論となるところも濁している部分が多い。 ただ小畠文書などを多用し、他本では余り注目されにくい細かいところまで解説してあったのは良かった。城郭の解説もある。 全体的にもう少し踏み込んでほしかったところはあるが、不正確なことは言っておらず返って初心者にも安心して勧められる本になっていて良かった。 本文の一番最後の一文になにか筆者の意向が含まれてる様な気がしたが気のせいか。2020/03/08
Galilei
7
丹波市の母の実家は400年近く此地に続き、裏山頂上の赤井氏の出城は明智軍により陥落。今も丹波や福知山の多くは光秀に好意的なのは、地元への懐柔に農民の借金を徳政令で棒引きし、城郭や架橋など土木工事に熱心だったので、公共工事が労役などで金が落ちたのだろう。近江の穴太宗や大坂の金剛組なども重用したようだ。織田軍の司令塔の光秀は、戦略や内政、朝廷や諸大名などの渉外に類稀な智謀を発揮した。後の徳川幕府にすれば光秀は反面教師となり、宰相を置かずに官僚体制で国政を分担したのだろう。光秀の英智は将に諸刃の剣であった。2022/01/22