内容説明
純粋美術としての絵画・彫刻より低位におとしめられた陶器、漆器、金工、染織等の諸分野の工藝で活躍した板谷波山、武田五一、浅井忠、神坂雪佳、藤井達吉、津田青楓、富本憲吉、今和次郎、広川松五郎、高村豊周たち、絶望から出発し、近代工藝を模索する彼らの悪戦苦闘の軌跡を検証。また1900(明治33)年のパリ万国博覧会の前後に移入された、工藝図案の再生への出発となるアール・ヌーヴォーの意義を分析。さらに日本近代における唯一といえる体系的な工藝をめぐる柳宗悦の思想が誕生した経緯、その中身と意味を歴史的な文脈のなかで検討する。
目次
序―「非・近代」的な工藝の「近代」
第1章 明治・大正の工藝図案―図案の「藝術化」をめぐって(『器物図集巻三』と板谷波山のアール・ヌーヴォー;武田五一とその周辺―京都の工藝界との関わりを中心に;明治三〇年代京都の図案集と「図案の藝術化」 ほか)
第2章 変容する近代工藝―一九一〇年代から一九三〇年代へ(工藝の個人主義―一九一〇年代の工藝;薊のモティーフと一九一〇年代の工藝;工藝の在処をめぐって―一九二〇年代の工藝 ほか)
第3章 柳宗悦と「工藝」の思想(柳宗悦における「眼」と「もの」の位置;柳宗悦と「民藝」―「工藝自体Craft‐Itself」の思想;「工藝」の課題―柳宗悦の視点から ほか)
著者等紹介
土田眞紀[ツチダマキ]
1960年、大阪生まれ。大阪大学文学部美学科卒業。大阪大学大学院文学研究科西洋美術史専攻博士課程単位取得退学。三重県立美術館学芸員(1987~1999年)を経て、現在、帝塚山大学人文科学部および大阪成蹊大学芸術学部非常勤講師。第一〇回倫雅美術奨励賞受賞。専門分野は柳宗悦を中心に東西の近代工藝・デザイン史、工藝論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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