出版社内容情報
「谷」地名の徹底的踏査――山田秀三流日本語地名研究法。
古代関東の地名が見えてきた―実際に現地に行き、古老の話に耳を傾け、土地の香りをかいで、丹念にひとつひとつの地名を吟味・解明する、これが山田秀三流の地名研究の真骨頂である。
第一編「谷」地名の略説
一、ヤトとヤツは同義語だった。ヤもその仲間らしい
二、夥しい数の地名であった
三、東(あづま)言葉だったらしい
四、谷の字を当てた各種地名
五、ヤト、ヤツの語義―時代により変遷したらしい
(1)湿原説(2)農村時代のヤト、ヤツの語義
(3)都市化してからの語義
六、ヤ(谷)の語義
七、ヤチ(谷地)地名の語義
八、ガイド、カイトの話
九、アイヌ語説は賛成できない
一〇、関東地方内の分布略図
(1)ヤ(谷)(2)ヤト(谷戸、谷)(3)ヤツ(谷津、谷)(4)ヤチ(谷地)
一一、もともとの言葉?
第二編 地域別の記録
一、千葉県
(1)桜井谷(2)西谷、中郷谷、上郷谷、竹谷(3)富津市のヤツ(4)船橋の古図の二つのヤツ(5)ヤツが
千葉県に夥しくあったこと(6)ヤトも僅かながらあること
二、神奈川県
(1)鎌倉の谷(2)金沢のヤツ(3)大船のヤト
(4)横浜市もヤト地帯だった(5)三浦半島のヤト
(6)藤沢のヤト(7)県内の地名分布概略
三、東京都
(1)江戸の谷(2)東京の街中のヤト(3)東京都西
部のヤト(4)東京都内のヤツ(5)ヤ
長くアイヌ語地名の研究にたずさわった著者が、生まれ育った関東の地名を吟味する。関西では谷をタニと読む地方が多いが、関東では市ヶ谷、千駄ヶ谷、下谷、谷中のようにヤと読むのはなぜか。これは山あいの水のじゅくじゅくした土地をさす古語で、ヤ、ヤツ、ヤト、ヤチなどがあるという。神奈川にヤト(谷戸)が多く、千葉にヤツ(谷津)が多いなど、現地を歩き、古老の話に耳を傾ける楽しいフィールド・ノート。
(1990.7.30 毎日新聞)
内容説明
古代関東の地名が見えてきた。実際に現地に行き、古老の話に耳を傾け、土地の香りをかいで丹念にひとつひとつの地名を吟味・解明―それが山田秀三流の地名研究の真骨頂である。「谷」地名の徹底的踏査。山田秀三流日本語地名研究法。
目次
第1編 「谷」地名の略説(ヤトとヤツは同義語だった。ヤもその仲間らしい;夥しい数の地名であった;東(あづま)言葉だったらしい
谷の字を当てた各種地名
ヤト、ヤツの語義―時代により変遷したらしい ほか)
第2編 地域別の記録(千葉県;神奈川県;東京都;埼玉県;群馬県;栃木県;茨城県)