内容説明
それは11年前、“迷惑施設”と揶揄されていた犬猫殺処分場に“左遷”された一人の所長から始まった。
目次
第1章 ある施設の日常
第2章 日本一の愛護センター
第3章 “左遷”所長の挑戦
第4章 安易な引取りは断る
第5章 嫌われる行政になる!
第6章 限りなくゼロへ
終章 ある施設、再び
著者等紹介
藤崎童士[フジサキドウシ]
1968年生まれ。ノンフィクション作家。2010年、水中写真界の第一人者・中村征夫の半生を追い、人間的核心に迫った『半魚人伝』でデビュー。人間の行動や心理の微妙な変化を描き出す筆致に定評がある。劇作活動として、平成16年度/平成18年度における「文化庁舞台芸術創作奨励賞」(現代演劇部門)に二度入賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
YM
67
読友さんの感想より。僕は猫さんが好きでいつか一緒に暮らしてみたいと思っている。でも、今まで動物を飼ったことがない。飼う環境が無かったといえばそうだけど、覚悟も無かったと思う。だからかわいい猫本と並行して、本書は読みたかったし、本当に読んで良かった。ペットがビジネスになって消費される、命がモノになっている現状を知らないと。年間何十万頭もの犬や猫が僕らの都合で処分されるなんて、良い訳ないじゃない。法律で決めなくても分かるじゃない。いつかツケがまわってくるんだから。命を甘くみちゃいけない。2014/12/28
かわうそ
17
自分の家にはペットはいない。動物嫌いというわけではない。むしろ好きな方だ。故に動物の殺処分ということに関して、ペットを飼わない自分にとっては縁遠い事柄であると思ったのだが、表紙を見るに果たして「殺処分ゼロ」とは可能なことなのだろうか?という素直な疑問から読む気になった。強烈だったは元飼い主の身勝手極まる言葉と犬猫の必死さ。これらを何とかするために足掻く職員の皆さんの思い。救えるものは救いたい...この「当たり前の想い」が失われた対価を、多くの小さな命で支払っている現実。それを大きく動かした施設。すごい!2015/09/05
織町
16
“嫌われる行政になってやるーー。殺処分をゼロにする目標があるにも関わらず、俺たちは処分してしまうけど、お前たちの命は絶対に無駄にしない”殺処分ゼロ。年間の殺処分数を知れば、文章を読めば、熊本市がいかに壮絶な決意を、思いをし、歩んだのかを痛感するだろう。官民がまさに一体となり、同じ目的を目指した。もしも、私が熊本市民だったら市民であることを誇りに思う。当たり前のことだけど、命を命として扱っている。殺処分ゼロというこの一つの結果が全国にも浸透することを切に願う。ひとつずつ、自分ができることを、やってく。2015/03/14
08
7
(無責任な飼い主という)人間の最低さと、(殺処分ゼロを目指して進んでいく)人間の素晴らしさが一冊に凝縮されてた。殺処分ゼロの進め方には賛否両論あるのだろうけど、それも覚悟の上で実際に行動に移していった愛護センター関係者の方達には本当に頭が下がる。まさにプロジェクトX。ただ、大元の飼い主のモラルがしっかりしてさえいれば当然殺処分も減るわけで、本来なら譲渡講習会のようなことはペットショップでも行うべきなんだよな。安易に飼わない(買わない)のも動物愛護、デスヨネー。 2014/01/07
Ted
7
'11年8月刊。◎作業に慣れた職員でもある日、隅で震えながら固まっている3匹の子犬を何気なく目撃した時に心を強く揺さぶられた、という話が頭から離れない。飼主への説得で安易な引取りをしない方針はよいが、それに折れて連れ帰っても犬が幸せかどうかは別問題。遠くで遺棄したり虐待が続いたり自ら殺してしまうような結末になってないだろうか。処分がゼロになってもそれでは意味がない。寧ろ非常識な飼主からは積極的に引き取り保護する方がよい場合もきっと多いはずだ。大切なのは犬の身になった時どういう選択が最良かという事に尽きる。2013/01/28
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