内容説明
「詩人であれたらどれほどよかったことか!だがせめて、絵画でつくり出すのだ」文学に焦がれたドラクロワはダンテやシェークスピアを絵画化するなかで絵画独自の快楽を見出しみずからの様式を発展させていく。その過程を同時代の文脈から考察する。
目次
第一部 一九世紀中盤のフランスにおける文学と絵画をめぐる環境とドラクロワ(「物語画」と文学;ドラクロワの画業の概要と本書の課題)
第二部 着火する文学 多様な着想源からの直接的な制作(物語と「挿絵」―ゲーテ作『ファウスト第一部』に基づくリトグラフ連作;現実と絵画―バイロン作『ジャウール』より二点の「ジャウールとハッサンの闘い」)
第三部 触媒となる文学 他ジャンル芸術との競合と絵画の可能性(演劇と絵画―シェークスピア作『ハムレット』より複数の「墓地のハムレットとホレーシオ」;歴史と絵画―“トラヤヌス帝の正義”と“十字軍のコンスタンティノープル攻略”)
第四部 文学から絵画へ(小説をもとに「詩」的な絵画を―スコット作『アイヴァンホー』より二点の「レベッカの略奪」)
著者等紹介
西嶋亜美[ニシジマアミ]
尾道市立大学芸術文化学部准教授。京都大学大学院文学研究科美学美術史学専修博士後期課程修了。京都大学博士(文学)。専門は、ドラクロワを中心とする十九世紀フランス美術史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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