内容説明
演劇理論におけるプレゼンス論とアブセンス論を踏まえながら、観客が舞台作品を見る際に衝動や葛藤に駆られる内的で動的なプロセスの多様性を、上演分析によってあざやかに解き明かす。
目次
在と不在の複眼的演劇論―本書の目指すところ
理論編(プレゼンス‐アブセンス論争;理論的前提とモデルケース)
プレゼンス編(出現の不確実―ストアハウスカンパニーの舞台作品を例に;過剰と鬱―フランク・カストルフ演出『終着駅アメリカ』におけるパラドキシカルな生き延び策;死者と生者の哀悼劇―ニードカンパニーの『ディア・ハウス』における自己分裂の演技と観客の想像力)
アブセンス編(身体の救出可能性と挫折のあいだ―ローラン・シェトゥアーヌ振付の踊らない身体;ネガティブな「ある」と「ない」のはざま―クリストフ・マルターラー演劇の持続性と歴史的時間;「不在の像」との「つきあいかた」―マレビトの会のカタストロフィー演劇)
受動の活動―「ある」と「ない」をめぐる観客の可能性
著者等紹介
平田栄一朗[ヒラタエイイチロウ]
1969年東京生まれ。1997年、慶應義塾大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。慶應義塾大学文学部准教授を経て2012年より同大学教授。専門はドイツ演劇・演劇学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ときお
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これまでプレゼンス論者たちが過剰なプレゼンスを見出してきた作品にはアブセンスを見出し、一方でアブセンス論者たちが圧倒的アブセンスを見出してきた作品にはむしろプレゼンスを見出すという試みで、ある種バランスをとろうとしている。私にはその試みに向かうことは倫理的な感性の働きの結果として至極当然に思える。しかしながら、本書で取り上げられる作品でP-A論者のどちらからも共通して取り上げられる作品、つまり論争になっているような作品というものはない(そういう作品はないのか?)ようで、そこが欠けているところだと思う。2016/07/05
MaRuTaTSu
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個人的には第二章が特に参考になったかと。 ここで分析対象として紹介されている上演たち(特に日本の!)観たい(観てみたかった)なあ…2016/07/16
千利休
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気になる点もあるが非常に興味深い2022/01/05