内容説明
ローマ美術はながく、ギリシア美術の衰退の一段階と見なされてきた。19世紀、美術史家はローマ美術の独自性を定義するという難題に挑み始め、研究の進展は近代的学習としての美術史学の形成に重なる。著者ブレンデルはリーグル、ヴィックホフに始まる諸説を厳密に検討し、ローマ美術の根本問題に迫っていく。その取り組みは、美術史学の方法と理念自体に我々を対峙させることになるだろう。
目次
1 ローマ美術研究序説(ローマ美術の問題点;問題の変遷;ルネサンスの理論;成長と衰退の理論;再評価;オリエントかローマか;国民主義の時代;現在―ローマ美術への二つのアプローチ;これまでの理論の包括的な評価;ローマ美術の二元性;多元論:同時代的なもののなかの不均衡)
2 近代からみたローマ美術(ローマ美術の範囲;時代の限定;ローマ美術のカテゴリー;公的美術;ギリシア的要素;絵画;コピーとバリエーション;絵画の内容;アレゴリー―隠されたヴィジョン)
著者等紹介
ブレンデル,オットー[ブレンデル,オットー][Brendel,Otto J.]
1901年、ドイツ、ニュルンベルク生まれ。1920年よりハイデルベルク大学で、考古学者ルートヴィッヒ・クルツィウスのもと古典考古学を学ぶ。1926年、博士号を取得。その後、イギリス、デューラム大学等を経て渡米し、ミズーリ大学、インディアナ大学で教鞭を執ったのち、1973年6月の退職時までコロンビア大学美術史・考古学科教授。同年10月永眠
辻成史[ツジシゲブミ]
1933年、東京生まれ。東京芸術大学美術学部芸術学科卒業後、立教大学大学院で組織神学を学び、1967年よりプリンストン大学大学院博士課程に学ぶ(Ph.D.)。清泉女子大学教授、大阪大学教授、金沢美術工芸大学教授、大手前大学人文科学部教授、(財)西宮市大谷記念美術館館長を歴任。専門は古代末期、ビザンティン・中世美術、図像学
川上幸子[カワカミサチコ]
大阪生まれ。大阪大学文学部美学科大学院博士課程前期修了。現在、翻訳業
中村るい[ナカムラルイ]
東京生まれ。東京芸術大学大学院修士課程修了。1995年、ハーバード大学大学院博士課程修了(Ph.D.)。現在、放送大学客員准教授。専門はギリシャ美術史。1991年、イスラエル・カエサリア遺跡発掘。1992~93年、米国古典学研究所(於アテネ)研究員。第二回鹿島美術財団賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。