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内容説明
1646年、レンブラントは、小さいけれども大きな影響力をもつ絵を描いた。それは、オランダの絵画としては、はじめて、絵の「手前に」カーテンを描き、絵の「まわりに」額縁を描いたものだった。レンブラントが見せた、この錯覚を起こさせるような「至芸〔クンスト・シュトゥック〕」は、多くの同時代の画家たちを刺激して、模倣作品を生み出した。その後しばらくの間、絵画にこんな仕掛けを凝らすことが流行する。しかし、そんなものを付け加えることにどんな意味があったのだろう。たんなる目だましのトリックなのか、それとも、そこには、当時の絵がどのように扱われていたかを知るためのヒントが隠されているのか。また、こうして付け加えられたカーテンは、絵の主題である聖家族と何か関係があるのか。このほかにも多くの疑問に衝きうごかされながら、本書での調査は研究の核心に近づいていく。本書が問題にしているのは、17世紀オランダにおける絵の機能と絵が置かれていた状況についてであり、一見不可能に見えることを実現していた当時の絵画制作についてである。
目次
第1章 聖なるものの冒涜?
第2章 聖家族?
第3章 絵のまえのカーテン
第4章 描かれたカーテン
第5章 至芸:コレクションが絵に求めたもの
第6章 絵の外側と内側
第7章 カーテンの宗教的意味
解説 W・ケンプと絵画の受容美学
著者等紹介
ケンプ,ヴォルフガング[ケンプ,ヴォルフガング][Kemp,Wolfgang]
1946年生まれ。ボン、マールブルク、ロサンゼルス、カッセルなどで教育研究活動に携わった後、1983年からマールブルク大学で、美術史学の教授
加藤哲弘[カトウテツヒロ]
1953年、岡山市生まれ。1981年、京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了(美学美術史学専攻)。京都大学助手を経て、現在、大阪学院短期大学国際文化学科助教授。専門は美学・比較美術論
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