出版社内容情報
氷の海に座礁し沈没する船。その悲劇を透明感ある崇高な情景として描くことは是か非か? フランス革命から王政復古の反動にいたる社会状況を、破壊と希望が共存する難破の情景に結晶させた画家の思想。
内容説明
凍結した海での難破の光景を、冷気が満ちる清明な空のもとに描いたフリードリヒの代表作『氷海』。啓蒙主義、フランス革命そして王政復古の反動にいたる時代の揺れ―そうした社会状況を、破壊と希望が共存するまったく新しい美に結晶させた画家の思想をたどる。激動の時代が生んだ破壊と希望が共存するまったく新しい美。
目次
第1章 フリードリヒのアトリエへの訪問
第2章 葛藤の画面構成
第3章 エルベ川の流氷と極地探検のヴィジョン
第4章 崇高―感情の対立の中で
第5章 旧体制の復活―ドイツの冬
第6章 北方―青いクリスタル
第7章 反アルカディアと否定的ユートピア
第8章 古典主義とロマン主義―有機的な全体と無定形な断片
第9章 人間の悲劇の象徴としての自然
第10章 近くの恐怖と遠くの希望―死を通過して、自由と新しい生命へ
著者等紹介
ラウトマン,ペーター[Rautmann,Peter]
1941年生まれ。カッセル美術大学で美術教育、絵画を学び(1962‐67)、ハンブルク大学で美術史、考古学、哲学を学ぶ(1967‐76)。1976年、カスパー・ダーフィト・フリードリヒについての研究で博士号を取得。1979年よりブレーメン芸術大学の芸術学教授。ヨーロッパのロマン主義美術(C.D.フリードリヒ、Ph.O.ルンゲ、ドラクロワ、ロマン主義の受容について)、20世紀の美術と芸術論(ドクメンタ7、ピカソ、ベックマン、リシツキー、70年代から90年代までの美術、ヴァルター・ベンヤミン)に関する論文と著書を発表
長谷川美子[ハセガワヨシコ]
1958年京都市生まれ。’95年早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。(美術史専攻)現在、洗足学園大学講師。専門はドイツ近代美術史
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