内容説明
本書はさまざまな二項対立―母と父、大地と天空、闇と光、死と生、ネイチャーとカルチャー―を含みながらも、それを超越した人間存在の原初である〈母なる〉世界を情熱的に描き出す。
目次
序論(母権という概念;母権研究における神話の重要性;女性支配を支える思考法;母権研究に要求される思考能力;女性支配と宗教性 ほか)
リュキア(リュキアの母権制に関するヘロドトス他の証言;対アマゾン戦争の英雄、母権制の創始者ベレロポン;ベレロポン神話の核心としての死の思想;木の葉の比喩。リュキア母権制の基礎としての物質的自然主義;リュキア母権制の属する宗教段階とその特徴 ほか)
クレタ(「父国」にかわる「愛する母国」の呼称;万民兄弟の考えとローマのPARICIDIUM〈親族殺し〉概念;町リュクトスの系図に見られる母系の優位 ほか)