出版社内容情報
☆ DNAチップの最新技術を詳述!!
☆ 特許、量産化技術、応用展開、次世代DNAチップ!!
☆ SNPs、バイオインフォマティクス、In Silico biology !!
☆ 予防医薬、オーダーメイド医療にいたる技術を網羅!!
はじめに
前回のDNAチップ応用技術の出版から約1年が経過した。このとき,開発中だった遺伝子同定技術・手法のいくつかが,実用化され実際に販売されている。DNAチップ技術も成熟期を迎え,技術の改良や量販化に向けた技術開発も多くなってきた。これまでのDNAチップ技術の基本は一枚基盤上に多数の遺伝子を集積して,解析を行うことであった。最近は特定の遺伝子に対して多数のサンプルの遺伝子解析を行える技術に開発も重要であると考えられるようになってきた。このような技術は臨床の現場や,SNPsと病気の発病リスクの関係を調べる上に重要になると思われる。
本書に集められた原稿は,いずれも過去1年以内のDNAチップ技術およびバイオインフォマティクスの話題である。統一性のとられた本というより最新の情報の集大成として活用いただけらと思っている。
2001年7月 松永 是
執筆者一覧(執筆順)
松永是 東京農工大学 工学部 生命工学科 部長 教授
中山秀喜 東京農工大学 工学部 生命工学科 博士 研究員
新保斎 理化学研究所 脳科学総合センター 非常勤研究員
隅藏康一 東京大学 先端科学技術研究センター 知的財産権大部門 助手
八尾徹 理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター
一石英一郎 京都府立医科大学 第一内科学教室
吉川敏一 京都府立医科大学 第一内科学教室 教授
美濃部侑三 (株)植物ゲノムセンター 代表取締役社長
小嶋浩樹 東洋紡績(株)バイオ事業部
荒川琢 東洋紡績(株)敦賀バイオ研究所
浅井友実 東洋紡績(株)敦賀バイオ研究所
川上文清 東洋紡績(株)敦賀バイオ研究所
添田栄一 理化学研究所 ジーンバンク 副主任研究員
的場亮 奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科 助手
牧野徹 前:オリンパス光学工業(株)ゲノム医療事業推進プロジェクト研究G(株)
現:ノバスジーン 研究開発部
森本伸彦 オリンパス光学工業(株)ゲノム医療事業推進プロジェクト研究G
篠原悦夫 オリンパス光学工業(株)ゲノム医療事業推進プロジェクト研究G
馬場嘉信 徳島大学 薬学部 教授;科学技術振興事業団CREST
小口しのぶ (株)インフォジーンズ 代表取締役
木山亮一 産業技術総合研究所 分子細胞工学研究部門 遺伝子ダイナミックス研究グループ グループリーダー
佐藤記一 東京大学大学院 工学系研究科 助手
木村博子 順天堂大学 医学部 講師
北森武彦 東京大学大学院 工学系研究科 教授 ;
(財)神奈川科学技術アカデミー インテグレーテッド・ケミストリープロジェクト プロジェクトリーダー
呉崎まり子 (株)マイクロテック・ニチオン 技術部 研究開発課 課長
納富継宣 栄研化学(株) DUGユニット技術開発部 部長
長谷哲 JGS(Japan Genome Solutions Inc.)主席研究員
藤田毅 ㈱日立製作所 ライフサイエンス推進事業部 開発本部 ゲノム技術開発センター 研究員
木山政晴 ㈱日立製作所 ライフサイエンス推進事業部 推進事業部 開発本部 ゲノム技術開発センター 研究員
川合知二 大阪大学 産業科学研究所 教授
石川智久 東京工業大学 大学院生命理工学研究科 教授
小塚淳 大阪大学 基礎工学研究科 後期博士課程
千原國宏 奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 教授
金久實 京都大学 化学研究所 教授,同バイオインフォマティクスセンター長;日本バイオインフォマティクス学会会長
髙井貴子 東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター ゲノムデータベース分野
冨田勝 慶應義塾大学 環境情報学部 教授
久原哲 九州大学大学院 農学研究院 教授
宮野悟 東京大学 医科学研究所 ヒトゲノム解析センター 教授
丸山修 九州大学大学院 数理学研究院 助教授
有田正規 生命情報科学研究センター
西岡孝明 京都大学大学院 農学系研究科
荻原淳 グラクソ・スミスクライン(株)研究本部 基幹技術研究部 インフォマティクス課 課長
藤田芳司 グラクソ・スミスクライン(株)研究本部長
小長谷明彦 北陸先端科学技術大学院大学 知識科学研究科 教授
;理化学研究所 ゲノム科学総合研究センター チームリーダー
構成および内容
Ⅰ 総論
第1章 DNAチップ技術総論 松永是,中山秀喜
1 はじめに
2 遺伝子解析への応用
3 生物鑑定への応用
第2章 遺伝子研究関連の特許動向 新保斎,隅藏康一
-DNAマイクロアレイを中心として-
1 はじめに
2 DNAマイクロアレイ関連の特許と訴訟
2.1 特許でみる技術開発の流れ
2.2 基本特許のクレーム解釈:Markman裁定
2.3 その他の動き
3 DNAマイクロアレイのユーザー側の特許戦略
3.1 オリゴヌクレオチドの保護
3.2 診断用チップの保護
3.3 研究の中間産物をいかに権利化するか
4 おわりに
第3章 日米欧バイオインフォマティクスの研究動向 八尾徹
1 はじめに
2 ヒトおよび各種生物のゲノム情報の配列解読
3 大規模完全長cDNA計画
4 基本データベースセンターの拡充
5 遺伝子同定とアノテーション
6 比較ゲノミクス
7 構造ゲノミクス
8 機能ゲノミクス
9 生命情報システム
10 おわりに
Ⅱチップ技術編
第1章 DNAチップ技術を用いた予防医学・オーダーメイド疾患予防の可能性
一石英一郎,吉川敏一
1 はじめに
2 遺伝子多型と疾病
3 遺伝子因子把握の重要性と問題点
4 環境因子との関連について
5 酸化ストレスプロファイルについて
6 臨床情報フォーマットの参考例
7 今後の予防医学・オーダーメイド疾患予防に向けて
第2章 植物ゲノム解析の進展と産業化 美濃部侑三
1 植物ゲノム解析の重要性
2 ゲノムシーケンスの解析の進展
3 外国企業によるイネゲノムシーケンス解析の影響
4 遺伝子機能の解明と特許化
5 大きな経済効果を生みだした遺伝子特許
6 組換え作物の安全性
7 遺伝子組換え技術の安全性をめぐる不安について
8 植物バイオテクノロジーをめぐる問題点
第3章 ナイロンメンブレンによるcDNA アレイの開発
小嶋浩樹,荒川琢,浅井友実,川上文清
1 はじめに
1.1 ゲノム時代からポストゲノム時代へ
1.2 cDNAアレイの登場
1.3 cDNAアレイの分類
2 Gene NavigatorR Systemの特徴
2.1 操作の流れ
2.2 固定化cDNAプローブについて
2.3 標識サンプルについて
2.4 検出と解析について
3 Gene NavigatorR Systemの性能
3.1 感度と定量範囲
3.2 同時再現性
3.3 サンプル量における再現性
3.4 PCRの有無による検出結果の同一性
4 おわりに
第4章 縦溝・横溝プレートによる"即日スクリーニング"とゲノムへの整列化法 添田栄一
1.はじめに
2.BACのスクリーニングと整列化の現状
3.2段階PCRスクリーニング法の原理
4.保存用MTP、および縦・横溝プレートの設計
5.スクリーニング・キットによるMTPの選定
6.縦溝・横溝プレートによるスクリーニング・ライブラリーの構築
7.即日スクリーニング(The Day Screening)
8.クローン化DNAのゲノムへの整列化
9.即日スクリーニング構築の背景とネオゲノム解析計画
第5章 新基板技術を用いたDNAチップ 的場亮
1 はじめに
2 既存チップの問題点
3 アモルファスカーボン基板チップ
3.1 形状・フラットネス
3.2 スポッティングの形状・均一度
3.3 ハイブリファイゼーション後のバックグランド
4 今後の問題点
5 最後に
第6章 DNAキャピラリアレイシステムの開発 牧野徹,森本伸彦,篠原悦夫
1 はじめに
2 研究開発の経緯
3 DNAキャピラリアレイシステムの概要
3.1 DNAキャピラリアレイ(遺伝子検出用デバイス)
3.2 オリゴDNAプローブ設計
3.3 液体処理装置
3.4 時間分解蛍光検出装置
4 高密度化への対応
5 おわりに
第7章 遺伝子増幅系内蔵型DNAチップ 馬場嘉信
1 はじめに
2 DNAチップから次世代DNAチップへ
3 遺伝子増幅系(PCR)のマイクロ化
4 PCR内蔵型DNAチップ
5 おわりに
第8章 DNAチップによる内分泌撹乱物質の影響評価システムの開発
小口しのぶ,木山亮一
1 はじめに
2 DNAチップ(DNAマイクロアレイ)
3 DNAチップによる遺伝子発現プロファイリング
4 環境ホルモン(内分泌撹乱物質)
5 環境ホルモンの複合作用
6 環境ホルモンDNAチップを用いたエストロゲン応答性遺伝子群の同定
7 環境ホルモンカスタムDNAチップ
8 環境ホルモンDNAチップの用途およびデータベース作成
9 21世紀に産業におけるバイオテクノロジー
第9章 イムノアッセイマイクロチップの開発 佐藤記一,木村博子,北森武彦
1 はじめに
2 開発の経緯
3 マイクロチップイムノアッセイの原理と方法
3.1 アッセイの原理
3.2 イムノアッセイチップの作製
3.3 アッセイ手順
4 マイクロチップ化による分析時間の短縮
5 医療診断への応用 -腫瘍マーカーの定量-
6 今後の展望
第10章 電気化学発光法を用いたDNAチップリーダーの開発 呉崎まり子
1 はじめに
2 DNAチップへのニーズ
3 既存特許からの啓発と新たな特許の出願
4 DNAチップとチップリーダーの設計と製造
4.1 電気化学型DNAチップの特徴
4.2 開発したDNAチップリーダーの特徴
5 インターカレーターの選択
5.1 ルテニウムの発光原理
5.2 ルテニウムのDNAへの挿入テスト
5.3 新挿入剤の検討
6 検出感度のテスト
6.1 ルテニウム錯体の検出線
6.2 ルテニウム錯体を用いたDNAの検出
6.3 ATP標準液での検出感度
7 今後の展開
Ⅲ関連技術編
第1章 新規遺伝子増幅法(LAMP法)の原理と応用 納富継宣,長谷哲
1 はじめに
2 Loop-mediated isothermal amplification(LAMP)法
3 LAMP法の反応機構
3.1 Starting material producing step
3.2 Cycling amplification step
3.3 Elongation and recycling step
4 増幅原理の確認
5 増幅効率および特異性について
6 鋳型の処理
7 RNAからの増幅
8 増幅産物の検出について
9 LAMP法の進展と展開
第2章 改良SSCP法による高速SNPs検出 藤田毅、木山政晴
1 はじめに
2 高速フラグメント解析装置
2.1 両面温度調方式および熱伝導モデルによる高精度温度制御
2.2 泳動条件
3 PCR-SSCPによる遺伝子変異・多型の検出
3.1 試料調整法および試薬
3.2 高電界印加による高速化と再現性
3.3 肺癌細胞株におけるp53遺伝子変異の検出
4 大規模SNP解析システムの構築と実応用
4.1 大規模SNP解析システム
5 まとめ
第3章 走査プローブ顕微鏡によるDNA解析 川合知二
1 はじめに
2 走査プローブ顕微鏡による今までの技術の流れ
3 DNA観察のための試料作成法(真空噴霧法)
4 単鎖DNAのイメージング
5 二重鎖DNAのイメージング
6 高分解能AFMによるDNA観察
7 酵素DNA複合体のイメージング
8 溶液中でのSPM観察
第4章 薬物トランスポーターに基づく創薬分子デザイン 石川智久
-21世紀ゲノム創薬に向けた産学連携の提案-
1 はじめに
2 ゲノム創薬における「光と陰」
3 薬物トランスポーターと薬物応答性
4 薬物トランスポーターの遺伝子多型
5 輸送機構に基づいた創薬分子設計の例
6 共同研究体制への提案
7 産学連携と技術移転
8 21世紀創薬科学における人材育成
第5章 三次元動画像によるタンパク質構造変化の可視化 小塚 淳,千原國宏
1 研究経緯
2 タンパク質解明の重要性
3 ソフトウェアの開発
3.1 分子骨格データ構造
3.2 データ圧縮と描画方法
3.3 表示結果
3.4 今後の発展
4 応用展開
5 おわりに
Ⅳバイオインフォマティクス
第1章 ポストゲノム時代のバイオンインフォマティクス 金久實
第2章 パスウェイデータベース 髙井貴子
1 ポストゲノムにおけるパスウエイデータベース
2 パスウェイデータベース
2.1 代謝系パスウェイのデータベース
2.2 制御系パススェイのデータベース化へ
2.3 パスウェイのデータベースの産業利用
3 分子の相互作用を中心にしたデータベース
4 パスウェイ情報の自動抽出
5 生命の設計図を目指して
第3章 オーダーメイド医療とIn Silico biology 冨田勝
-患者個人の代謝シミュレーションへ向けて-
1 SNPは非線形の振舞いをする
2 ポストプロテオームに不可欠なコンピューターシミュレーション
3 単純な代謝系の複雑な振舞い
4 バーチャル細胞の構築
4.1 E-CELLシステムを用いて構築した「バーチャル自活細胞モデル」
5 E-CELLシミュレーション・システム
6 餓死寸前の最後のパワー
7 バーチャル赤血球細胞
7.1ヒト赤血球のE-CELLモデル
7.2アルドラーゼ酵素を欠損させた時の赤血球の振舞い
8 おわりに
第4章 アレイインフォマティクス技術 久原哲
1 アレイ実験の目的
2 アレイ技術とデータ
2.1 アレイ技術の発展と現状
2.1.1 アレイの基本技術
2.1.2 マイクロアレイの実際
2.2 データ集積と公開
2.3 アレイデータからネットワーク推定
2.3.1 遺伝子破壊実験からのネットワーク推定
2.3.2 タイムコースからのネットワーク指定
3 今後の課題
第5章 配列データからの知識発見技術 宮野悟,丸山修
1 はじめに
2 類似検索とリンク情報
3 配列に潜むパターンを探す
4 比較して違いを見つける
5 エキスパートとシステムの統合
6 おわりに
第6章 生体内化学反応の階層分類 有田正規,西岡孝明
1 はじめに
2 酵素の分類
3 簡単な例
4 おわりに
第7章 創薬とバイオンインフォマティクス 荻原淳,藤田芳司
1 はじめに
2 創薬プロセスとインフォマティクス
2.1 責任遺伝子の位置の同定
2.2 遺伝子から機能へ
2.3 機能の知識から遺伝子探索
2.4 発現プロファイルの解析
2.5 リード化合物の探索
3 創薬研究とインフォマティクス
第8章 バイオインフォマティクス教育・技術者養成 小長谷明彦
1 はじめに
2 米国のバイオインフォマティクス研究および教育動向
3 日本のバイオインフォマティクス研究および教育動向
4 技術課題
4.1 情報利用レベル
4.2 情報活用レベル
4.3 技術開発レベル
4.3.1 並列処理について
4.3.2 統合化について
4.3.3 シミュレーションについて
5 施策
6 おわりに
目次
1 総論編(DNAチップ技術総論;遺伝子研究関連の特許動向―DNAマイクロアレイを中心として ほか)
2 チップ技術編(DNAチップ技術を用いた予防医学・オーダーメイド疾病予防の可能性;植物ゲノム解析の進展と産業化 ほか)
3 関連技術編(新規遺伝子増幅法(LAMP法)の原理と応用
改良SSCPによる高速SNPs検出 ほか)
4 バイオインフォマティクス編(ポストゲノム時代のバイオインフォマティクス;パスウェイデータベース ほか)
著者等紹介
松永是[マツナガタダシ]
東京農工大学工学部生命工学科教授。工学部長
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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