出版社内容情報
刊行のねらい
熱可塑性エラストマーはいわゆる通常のエラストマーと異なり、成形加工工程の合理化と加工製品のリサイクル性に特色があり、時代の求める省エネルギーや環境問題に関するニーズに合致した機能性材料として、その応用範囲は非常に広い。例えば、自動車部品、各種工業用部品、電気機器部品材料、土木・建築関連材料、スポーツ用品、医療機器用品、包装材料、はきもの、接着剤、樹脂改質剤などへの利用が広がっている。エラストマー分野に加えて、特に樹脂分野への進出、例えば耐衝撃剤としての展開が益々深化している。すなわち、熱可塑性エラストマーはその応用開発を極める時代に突入したところであり、技術開発の芽は大きく成長を続けている。
本書は1992年に出版された「熱可塑性エラストマーの展望」の普及版であるが、それに含まれている新しい応用の芽からみて、その内容は決して古いものではない。現在の市場が求めるニーズに合致した機能材料としてのヒントが多く含まれており、その活用に期待が寄せられているからである。
本書は研究者はもちろん、生産・化工・応用に従事されている多くの技術者に有用な指針を与えるものであると考えられる。御一読をおすすめしたい。
構成および内容
第1章 成長著しい熱可塑性エラストマー
1 はじめに/なぜTPEが注目を集めているか(将来性)/TPEの分類
2 成長著しい熱可塑性エラストマー
2.1 市場動向
2.2 メーカー動向/ポリオレフィン系/スチレン系/塩ビ系/ポリエステル系TPE/ポリアミド系TPE/
ポリウレタン系TPE/その他のTPE
2.3 なぜ熱可塑性エラストマーは成長が期待されるか/長所/短所/価格とその機能性の関係/
省エネルギー効果/リサイクル性/経済性/課題
第2章 技術開発動向
1 製造
1.1 ブロックコポリマー
1.2 ブレンド
1.3 動的架橋
1.4 その他
2 構造と性質
3 加工・成形
4 性能向上のための技術開発の課題と動き
4.1 はじめに
4.2 耐熱性の向上
4.3 強度の向上
4.4 圧縮永久ひずみの改良
4.5 耐油性の改良
4.6 ガラス繊維による強化
4.7 IPN化
4.8 高機能化
4.9 その他の高性能化
第3章 用途展開、その最先端と市場動向
1 はじめに(主なTPEの応用分野)
2 自動車部品
3 工業用品
4 電気機器関係部品
5 土木・建築
6 スポーツ用品
7 医療用品
8 樹脂改質剤
相溶化剤としての働き/耐衝撃性の改良/その他
9 接着剤
第4章 海外の動向
第5章 将来展望と課題
1 はじめに
2 将来展望
世界/米国/西欧/日本
3 TPEの課題
3.1 将来展望と高性能化・高機能化の課題
3.2 課題に応える方策は
構造コントロール/変性による機能化/動的架橋/加工技術/組成物/製造コスト
4 TPEの機能化
目次
第1章 成長著しい熱可塑性エラストマー
第2章 技術開発動向
第3章 用途展開、その最先端と市場動向
第4章 海外の動向
第5章 将来展望と課題