出版社内容情報
『チャタレー夫人』には三つの原稿があった! 夫人の不倫相手の森番が社会主義者であった、知られざる初稿の作品。ワイセツ論争を呼んだ現在出版されているのは第三稿。
内容説明
『チャタレー』には三つの作品があった…。ワイセツ論争で騒がれているとき、ロレンスは「森番」を共産主義者で、階級的憎悪が一番激しく、全編にわたって方言を使う人物に設定した『初稿』を出版しようと考えていた…。詳細な「解題」「文献」付。
著者等紹介
増口充[マシグチミツル]
1952年、長崎県に生まれる。1975~76年、イギリス遊学、その後南欧を放浪。1977年、北九州市立大学外国語学部米英学科卒業。長崎県立長崎南高、口加高、五島高、諫早高を経て、小浜高等学校教諭。日本ロレンス協会、日本英文学会(九州支部)会員
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感想・レビュー
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しんすけ
2
10年前くらいから気にかけていたが読む機会を逸していた。一般に知られる『チャタレイ夫人の恋人』は第三稿に当たるらしい。十代後半と三十代前半とでその三稿を読んだが、ロレンスの体力が燃え尽きたかと思うほど精彩を欠いていた。『息子と恋人』と『恋する女たち』が、逆説的であってもエネルギッシュであったのに比すると、哀れさえ感じさせたものだ。だが、この初稿はエネルギッシュで読者を耽溺に誘う感もある。ただ、コンスタンス(チャタレイ夫人)を理想的描き過ぎているようで、ロレンスの階級感に問を生ずるところもあったが。。。2016/11/13