変動するラテンアメリカ社会―「失われた10年」を再考する

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  • サイズ A5判/ページ数 282p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784882024798
  • NDC分類 302.55
  • Cコード C0030

内容説明

ラテンアメリカの新たな姿は、1982年の対外債務危機をきっかけに発生した「失われた10年」、すなわちマクロ経済からみると不況と超高インフレが同居し発展過程が停止した10年弱、国によっては10年余りに及んだ停滞の時期を抜きにしては、起こり得なかったことである。その間はあたかも噴出前の地下のマグマのごとく、新旧のさまざまな要素が入り交じって噴出に向け溶解していった時期であったともいえよう。それは世界大恐慌後の1930年代と同列可能な、歴史の分水嶺と呼びうるような転換期ではなかったのではなかろうか。そうした状況の中で変容を来すのは経済だけではない。政治そして社会もまた、経済とともに新旧の諸要素が溶解する過程を経たと思われるのである。「失われた10年」をより詳細に観察すれば、そこからラテンアメリカ社会そのものの変動の姿が浮かび上がってくるといえそうである。こうした観点に立ってラテンアメリカを対象とする上智大学の研究機関、イベロアメリカ研究所では共同研究を進め、国際シンポジウムを企画してきた。本書はその成果とともに、研究誌である『イベロアメリカ研究』に掲載された関連論文をもとに編集した。

目次

序章 ぶつかり合う二つの波
第1章 メキシコ 80年代以降の社会変動
第2章 1994―NAFTAとEZLN
第3章 中米諸国 武力紛争と社会変動
第4章 コロンビア その社会・経済・政治的変化と障壁
第5章 ブラジル 社会変化の方向性
第6章 ブラジル 社会転換期の80年代―統計資料を中心に
第7章 ペルー ナショナル・アイデンティティの再検証
第8章 アルゼンチン 経済成長と失業問題―低成長下の低失業から高成長下の高失業へ
第9章 チリ 社会政策の変遷―保健および教育制度を中心に

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うえ

4
「歴史的に失業率がきわめて低く、むしろ国外から移民を大量に受け入れてきたアルゼンチンが、90年代半ばに至って何とラテンアメリカ主要諸国中最高の失業率を抱えることになった」「最近とみに犯罪の増加を伝える報道が増えている。その多くは物品、金銭の強奪を目的とした犯罪」「かなり信憑性の高い世論調査によると、最も深刻な問題とされているのは失業と治安で、97年の6月と12月に失業をあげた人の割合はそれぞれ、40・5%、35・4%ときわめて高く、また治安の方は2・9%から19・3%へと大幅に上昇している」2017/04/22

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