出版社内容情報
現代文学に巨大な影響を与え続けるジョージ・オーウェルのアンチ・ユートピア小説『一九八四年』から評論『象を撃つ』などの全作品を、オーウェルの個人的軌跡との絡み合いを軸に、多角的視点で平易に説く。巻末に日本の研究文献を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
またの名
9
「学校でディケンズを読ませてくる教師たちが作中の極悪校長によく似てると思ってた」と述懐するオーウェル自身の小説も、今や教材として似たような境遇に置かれてるらしい皮肉。分かり易い物語で管理社会に警鐘を鳴らす作品を書いた作家の伝記的アイデア源を、子ども時代の厳しく理不尽な学校制度と植民地勤務と労働者の生活に自ら飛び込んだ経験に求める。スターリンやトロツキーを浅ましい豚に描き、文書などいくらでも党の意向に合わせて書き換える全体主義国家を予見したオーウェルは保守派でなく、生涯を通して底辺労働者の側に立ったと説明。2018/06/21