内容説明
癪や偏頭痛やヒステリーなど、様々な不定愁訴による“不機嫌”に現れる主人公たちのパフォーマンスと言説を読み、制度や習慣に忍従を装いつつしたたかにしなやかに生きる女たちを描く。
目次
第1章 元祖としての『かげろふ日記』
第2章 樋口一葉の女―癪と頭痛
第3章 自然派は妻をいかに描いたか
第4章 大正時代の光と影
第5章 岡本かの子という工房
第6章 ひとつの転換
第7章 富岡多恵子を読む
著者等紹介
荒井とみよ[アライトミヨ]
1939年福井県鯖江市に生まれる。奈良女子大学文学部国語国文学科卒業。現在、大谷大学・短期大学部教授
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感想・レビュー
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内島菫
28
「かげろふ日記」、樋口一葉、田山花袋、島崎藤村、宮本百合子、志賀直哉、谷崎潤一郎、岡本かの子、林芙美子、富岡多恵子等について、主人公あるいは重要な作中人物として女性がどのように描かれてきたのかを探る試み。散文という(和歌や詩といった)定型から外れた表現形式は、存在自体が(男性という)定型から外れた女性にふさわしいものなのかもしれない。特に、岡本かの子と林芙美子の屈託のありすぎる捻くれたアナーキーさには、男性の無頼やデカダンなどというスタイルが太刀打ちできるはずもない。その流れを、富岡多恵子が受け継ぐ格好。2017/05/13
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