修道院回想録―バルタザルとブリムンダ

修道院回想録―バルタザルとブリムンダ

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  • サイズ B6判/ページ数 493p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784880592510
  • NDC分類 969.3
  • Cコード C0098

内容説明

ポルトガルがスペインと鎬を削っていた18世紀。時の国王ジョアン5世は、フランシスコ修道会士と、王妃に世継誕生の祈祷が成就すればマフラに修道院を創建するという取引をする。一方、王の信任篤いブラジル生まれのローレンソ神は空飛ぶ機械『大鳥』を、戦争で左手を失った退役兵士バルタザルと不思議な透視術をもつブリムンダ夫婦の助けを得て試作するが、異端の嫌疑をかけられる。音楽家スカルラッティと王女マリーアなども絡んだ一大歴史ロマン。98年度ノーベル文学賞受賞作家サラマーゴの代表作、本邦初訳。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

106
非常に興味深い歴史小説でした。史実が中心で歴史書かと思いますが、そうではなく一種の教養小説のような感じで当時の状況がよく描かれていて非常に楽しめました。ポルトガルの小説というものはほとんど読んだことがなく、これがしかもノーベル賞作家の手になるものとはまるっきり知りませんでした。2016/05/04

どんぐり

78
18世紀初め、ポルトガル王ドン・ジョアン5世の治世下のマフラ修道院の建立に、王女マリーア・バルバラと作曲家スカルラッティ、ローレンソ神父の軽飛行機の飛行実験、宗教裁判。これらの史実をサラマーゴは盛り込み、〈七太陽〉の異名をもつ戦争で手首から片手を失ったバルタザルと、〈七月〉の異名をもつ相手の体内にあるものが見えるブリムンダの2人を登場させて、愛の物語を描く。ブリムンダが空中を浮く金属の球の中に集めた“意欲”というのが何を意味しているのかわからなかったが、バルタザルが軽飛行機とともに消えたあと、→2022/02/13

syaori

20
面白いです。史実と虚構が渾然一体となった物語です。18世紀ポルトガル、ジョアン5世がマフラ修道院建設の誓願を立て、献堂式を迎えるまでが、王家の豪華な生活や市井の人々の猥雑な生活、苦役にも似た修道院建設の労働、宗教裁判や聖職者の様子とともに描かれます。これに戦争で左手を失ったバルタザルと空腹時には透視能力を顕現するブリムンダの物語、彼らが手伝うことになった飛行船〈大鳥〉製作の話などが絡まってとても魅了されました。特に〈大鳥〉は物語に不思議な浮力を与えていて、夜に響くスカルラッティの演奏とともに印象的でした。2016/03/25

hiroizm

7
18世紀のポルトガルの史実に基づいた幻想的歴史小説。ジョアン五世や音楽家スカルラッティなど実在した人物を登場させながら、巨大な修道院建築に動員された当時の人々の暮らしを織り込んだ壮麗かつ幻惑に満ちた歴史絵巻となっている。当時の国王の財力の凄まじさに唖然。また無慈悲な宗教裁判が横行した時代に、真実の見通す透視力を持った女性を対比させて、矛盾した世界を描いているのが面白い。割と好きかも。2018/02/04

あき

5
18世紀前半のポルトガルが舞台。修道院の生活の物語かと思いきや、建設の経緯を大筋にしたお話でした。そして副題のバルタザルとブリムンダがもう1つの大筋でしょうか。引用符を用いないという独特の書き方が、物語を流れる無常をよく表しているような気がしました。誰の発言なのか混乱しましたが・・。ローレンソ神父の飛行船(パッサローラ)。半世紀後には気球が実現されていましたが、この時代にすでに原型があったのですね。井戸のハープシコードが切ないです。空からの演奏の場面を読んでみたかった。バルタザルの最後も謎が残り・・。2017/04/09

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