出版社内容情報
O157騒動はいったいなんだったの? うつる病気や食中毒からこどもをまもるために、ほんとうに必要なことはなにかを問います。
第1部
大腸菌・O157とはなんなんだ? 里見 宏
パニックに陥った日本
神奈川県の三浦市で9歳の男の子がO157:H7で入院しました。「焼き肉屋で生レバーを食べたというので在庫の生レバーを調べたらO157:H7が検出された」と報道されるや、スーパーから生食用のレバーが消えてしまいました。都内にある卸業者は牛の内臓肉をキロ34円から17円に、豚内臓肉はキロ5円を4円に値下げしましたが売れないので、冷凍して保存するだけ経費がかかるため廃棄しているというのです。
また、堺市で中毒が起きたときのメニューに“トリ肉とレタスの甘酢あえ”があったために、レタス農家は売れなくなったレタスを畑で処分したのです。菅直人厚生大臣は「カイワレもその可能性を否定することができない」と発言しカイワレパニックが起きました。
もちろん問題は業界だけでありません。洗浄だけでは不安だと消毒殺菌が日常的におこなわれるようになったのです。養護教諭はトイレのノブをアルコールでふき、調理員は朝から調理器具をアルコール消毒、野菜や果物は塩素で殺菌するという異常さです。ある生協のビラには「弁当の果物は、りんご、巨峰、キウイに限定します。梨は避けてください(商品検査センターより)。手指と包丁は、必ずアルコー