目次
1 とくに軽視されてきた2つの憲法問題
2 「地方自治」軽視の理由
3 日本の憲法学における「地方自治の軽視」と「中央集権体制」の正当化論
4 どう対応するか―日本国憲法の地方自治の本格的な再考を
5 「多重危機」の進行のなかで
6 提案―「日本自治大学」の創設を
著者等紹介
杉原泰雄[スギハラヤスオ]
1930年静岡県生まれ。1961年一橋大学大学院法学研究科博士課程修了。現在、一橋大学名誉教授、駿河台大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
10
著者は日本国憲法の中で歴代政府によっておざなりにされてきた問題を、①戦争の放棄と②地方自治であると指摘します。この本では地方自治が国民主権に相応しくあるためには何が問題としてあるのかを考えるものです。近代憲法は資本主義の市場の拡大のために中央主権的であったが、現代市民憲法は地方自治を重視することで、人びとが生活する地域と日常生活の向上を考えることができるのだと思いました。そして著者は地方自治の「多重危機」として反憲法政治が立憲主義を無視していることを指摘します。憲法に立ち戻ることの大切さを学びました。2015/01/10
yo yoshimata
3
まず単純に、装丁が素敵だなって思います。本にとって大切な要素の一つですね。「日本国憲法には独立した章として地方自治が設けられているのに、憲法学は長らくこれを軽視してきた」という筆者。その問題意識が強く、日本国憲法における地方自治論の積極的展開はあまり多く感じませんでした。それでも、問題の所在はよく分かる小冊子です。2017/05/16