感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
宙太郎
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作者の個人的経験を下敷きにした歌が多く、収載歌384首中のほとんどがよくわからないのは辛。また、その多くが字余り・字足らずで、まるで故意に破調に持って行ってるようなのも気にかかる。歌集のタイトルともなった掉尾の「蛹が見る夢もしあらば身のうちの風が吹き荒らすバベルの廃墟」や「直立に値ひせぬ時到りなば地よすみやかに人を抱くべし」などは心に染み入る。また、作者の闘病中の妻の気丈さを詠んだ「診察を待つ間くらきへ傾くを常のままなるきみに救はる」「食細くなりてもきみが幾皿も工夫する料理見るを楽しむ」なども微笑ましい。2023/12/27