目次
あるババァの肖像
河のほとり
酷薄/inframince
未来はオーレンカのもの
クラリッセ
Missブチハイエナはなにゆえ岸辺の葦になりかけたか
ヤブカラシの夏
愛の物乞い
海辺のコント
キンダーガルテンの孤独
黄金週間
はつなつの砂丘
Y 吉岡実に
著者等紹介
阿部日奈子[アベヒナコ]
1953年生まれ。詩集に『植民市の地形』(1989年刊・歴程新鋭賞受賞)『典雅ないきどおり』(1994刊)がある
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感想・レビュー
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SIGERU
20
阿部日奈子の、滾々と湧き出る奇想の泉に驚嘆。言葉自体が自律し、無限運動をかさねる光景には、畏怖すら覚える。巻末の詩『はつなつの砂丘』は、敬愛するYへ、吉岡実へ捧げられている。「Yを訪ねて岬の漁村に出かける日には 竹夫人(ちくふじん)をかかえてゆく。愉しきかなYに会いにゆく海曜日」。詩句を引用し始めれば、きりもない。詩の棘がしたたか読み手を刺し、快感回路を刺戟。引用それ自体が、やがて愉悦となっていく。現代詩壇に屹立し、独自の地歩を築く狷介な詩人による、筐底に秘すべき愛惜の詩集。装丁も、簡勁で美しい。2022/03/10
takao
2
ふむ2024/12/21
玉号
2
江国香織編纂の詩集に引用されていたので興味を持った。冒頭の「あるババァの肖像」からぶっちぎりではまる。2008/12/12
ルートビッチ先輩
1
自由恋愛の風合いを持つ詩集。女性からの視線が多い。自由恋愛は色々な形で色々な人が組み合わされていくということだが、詩行も、論理で繋がるようでいながら、文字で、あるいは形で繋がっていく部分が織り交ぜられ、踊っているようになる。そしてそれを読むということも、その繋がりを自分を介するところで受け止めることであり、自由恋愛に参加することであるように思う。2015/12/18