内容説明
19世紀英国ヴィクトリア朝の詩人クリスティナ・ロセッティ。平易な言葉遣いながら様々な技法が凝らされた彼女の詩には、読者を魅了する重層的な意味が潜んでいる。先駆者としての後期ロマン派詩人レティシア・ランドンや、ロマンティック・バレエとその原作小説についても考察しつつ、「象徴」「贈与」「異世界」というテーマを軸にロセッティの詩世界の多面性を探る。
目次
第1部 象徴の詩学 クリスティナ・ロセッティ(「夢の国」と魂の眠り―前千年王国論と類比;予表論の「モンナ・インノミナータ」―ソネットのソネット;間接的に伝える―象徴と保留;「眠りの森」と「王子の旅」―ふたつの時と多重の声)
第2部 死の贈与と再生―レティシア・ランドン(L.E.L.)とロセッティ(交換と死―ランドンのロマンス、「金いろの菫」;アフリカで死ぬということ―ランドンと死/詩の贈与;「ゴブリン・マーケット(小鬼の市)」の金と銀―コボルド、ランドン、ロセッティにおける贈与交換の系譜)
第3部 (番外編) 異世界/妖精の国へ―ウォルター・スコットとロマンティック・バレエ(スコット作『ラマムアの花嫁』―泉の妖精のロマンス;『ラ・シルフィード』と妖精譚『トリルビー』―境界に住むものたち;補遺 オックスフォード運動の宗教的象徴の詩学―類比と保留の概念)
著者等紹介
滝口智子[タキグチトモコ]
北海道大学大学院修士課程修了、同大学院博士後期課程中退。ライデン大学(オランダ)にて博士号(英語文学)取得。現在、和歌山大学他で非常勤講師。専門は19世紀イギリス文学・文化、特に女性詩人研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。