内容説明
文学研究の基本と見なされている「精読」。しかしそれがどんな営みなのか、共通理解は存在しない。「精読」の名の下になされる多様な実践のありようを確認しつつ、迷宮にあえて足を踏み入れ、その魅力を追求する。
目次
第1部 精読と間テクスト性(政治テクストと美学テクスト;「手堅い現金」と「泡のごとき功名」―ホーソーンの創作と報酬;「ヴァビーナの香り」の追加―『征服されざる人々』における登場人物と作家の成長;抒情する反逆者―『オン・ザ・ロード』と白い音楽)
第2部 精読を精読する(読むことと書くこととヘンリー・ジェイムズの『過去の感覚』;宙吊りの生に宿るネガティヴ・パワー―ベン・ラーナー『アトーチャ駅を後にして』を散文詩として読む可能性;ある黒人の「文字通り」な抵抗―ジェシー・レドモン・フォーセットの「エミー」;The Nickel Was for the Movies―フィッツジェラルド『ラスト・タイクーン』の一場面をめぐって)
第3部 精読と文学教育(英語文学専攻と精読指導―アメリカの高等教育;パワーポイントのない風景―文学的な精読を考える)
著者等紹介
吉田恭子[ヨシダキョウコ]
立命館大学文学部教授
竹井智子[タケイトモコ]
京都工芸繊維大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shun'ichiro AKIKUSA
2
勉強になりました。2020/03/30
KA
0
精読という制度そのものを問題化/歴史化する最初の2編(吉田、高野)と、現在進行系でアカデミア内部で行われている「教室・学会の精読」を検討した最後の2編(杉森、伊藤)、めちゃくちゃ良い。 吉田先生による問題設定「はじめに」は、『モダニズムの南部的瞬間』以降の越智博美先生のここ10年の仕事、ひいては三浦玲一編『文学研究のマニフェスト』を引き継いだものであって、なぜだか弟子の僕まで嬉しくなってしまう。2019/11/07