死の勝利―薔薇小説〈3〉

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死の勝利―薔薇小説〈3〉

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  • サイズ B6判/ページ数 405p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784879842879
  • NDC分類 973
  • Cコード C0097

出版社内容情報

●内容紹介(版元ドットコムより)
イタリア世紀転換期の作家ダヌンツィオが、〈薔薇小説〉三部作と称して書き継いだ、『快楽』『罪なき者』に続く代表作。心中という避けがたい結末に向かうひと組の男女がたどる心理のもつれを、美とリズムと音楽を備えた散文で精緻に描きだす。三島由紀夫はこの作品をもとに「岬にての物語」を書いた。名訳手・脇功、渾身の訳業。

内容説明

ひと組の男女が、心中という結末に向かって避けがたく流されてゆく―その過程がたどる複雑な心理のもつれを、多彩な響きとリズムを備えた交響楽の如き美しい文体で描き出す。

著者等紹介

ダヌンツィオ,ガブリエーレ[ダヌンツィオ,ガブリエーレ][D’Annunzio,Gabriele]
1863年、イタリアの港町ペスカーラに生まれる。学業優秀ながら品行不公正の少年時代を送り、16歳で第一詩集『早春』を出版。ローマ社交界に取材した長編小説『快楽』によって文壇に地位を確立する。続いて発表した『罪なき者』によって、その文名はヨーロッパ中に知られるところとなった。右翼・左翼の両陣営から選挙に出馬したり、第一次大戦に52歳で兵役志願したり、さらにはパリ条約でイタリアへの割譲が許されなかったフィウメを、義勇軍を率いて占領したりするなど、生活や行動自体が、社会の注目の的であった

脇功[ワキイサオ]
イタリア文学者。1936年生まれ。1964年、京都大学大学院文学研究科博士課程修了。1968~70年イタリア政府給費留学生としてローマ大学文学部に留学。訳書に、アリオスト『狂えるオルランド』(名古屋大学出版会)―日本翻訳文化賞、ピコ・デッラ・ミランドラ賞受賞など多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

31
絢爛たる頽廃。主人公ジョルジョは、自殺した叔父の死に惹かれていて、そういう意味で彼は物語の最初から死に近いところにいるのだと感じました。自らを地上に引き止めるため彼は陶酔を求めますが、恋による陶酔は既に残骸と肉欲しか残っておらず、期待をかけて訪れた教会では奇跡を待つ悪夢的な貧民たちの様子に幻滅しか感じません。最後、音楽への陶酔によって恋人を連れて死へ向かおうとする彼を待つ結末はとても皮肉だと感じました。もしかしたら「仇どうしの取っ組み合いのよう」な凶暴さは新たな陶酔となり得たのかもしれませんが。2016/11/14

nightowl

5
一青年が死に魅入られる様がイタリアの自然と共に描かれる一冊。巡礼地の悪夢を思わせる描写やトリスタンとイゾルデの説明に長々と頁を割いている部分など、著者自身の精神的バランスが不安定な時期に書かれたことが明らかに分かる作品。身を削りつつ洒落者の精神を忘れない姿勢がイタリア文学らしさなのかも。2017/12/12

Fumitaka

3
全体としてはローデンバックの『死都ブリュージュ』に似ている。主人公は永遠の「美」や「愛」のようなものを求める一方、それを疑い(p. 172)、情熱と冷淡、不倫相手の人妻や景観といった物理的・精神的「美」と「卑俗」(p. 54)が交錯するなか死へと惹かれていく。「醜」の描写としては、四部のカザルボルディーノの巡礼者たちの描写が圧巻で、貧困と病に蝕まれた下層民の姿はゴヤの〈サン・イシードロへの巡礼〉(「黒い絵」の方)のような愚昧と野蛮の狂騒として、さながらクトゥルー神話のような怪物的な形容で描かれている。2023/04/04

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