出版社内容情報
ヴィクトリア朝の上流社会に生きる女性グエンドレン。同じ社会に属しながらユダヤ民族解放を繰り広げるダニエル。二人の結婚はなにをもたらしたのか……。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
107
冒頭からの力強さ。どうしてこうも活き活きと若い女性を描けるのかしら…と思ったら、作者は女性だったのね。しかも、19世紀の。ルースしかり、19〜20世紀初頭のイギリス女性作家は素晴らしい文章を書くのだと今頃思う。湿っぽさがなくていい。オースティンが合わないので、イギリス女性作家は巧妙に避けていけたけれど、今までほったらかしておいたことを後悔。ユダヤ人に対するデロンダの視線もおそらく作者のものなのだろうな。デロンダよりグエンドレンばかりに気持ちがいった一巻。感想は二巻以降に。2017/02/24
やいっち
12
日曜日の夕方、読了。さすがのエリオットワールド。即、巻2に移る。いよいよ物語は佳境に。でも、ストーリーの面白さもさることながら、叙述自体が読み応えがある。だから、吾輩のように途切れ途切れにしか読めないものも、本を手にすると、一気に物語の世界に引き込んでくれる。 美は細部にあり、ではないが、叙述や登場人物の性格分析など、記述そのものが読み応えがある。19世紀半ばの小説という古さはあっても、ブロンテ姉妹に劣らない力がある。 2017/01/29
ロピケ
3
カヴァフィスがギリシャだっけ、イタリアだっけ?へ向かう船上で『ダニエル・デロンダ』を読んでた。何となくロマンチックだな~。いつか読んでみないと…と思っていた。期待した以上に面白い。グエンドレンのスカーレットばりの性格も際立っているが、デロンダの設定も興味深く、これからどうなるのかという期待が膨らむ。マイラーは、スコットの『アイヴァンホー』のヒロインみたいと思ったら、まさに…。早く2巻を借りて来ないと。2011/04/12
tekka
1
「だいたい人間には、あらゆる手を尽くしたことが実を結べばびっくりし、効果を欲求するだけでなんの手も打たなかったために不首尾に終われば、それにもびっくりするという大した能力がある。」2023/06/16