内容説明
ヴァーモント州の片田舎に住むヘンリイ・エイクリイからの手紙。それは宇宙の深淵からの来訪者の恐怖を告げるものだった―。ラヴクラフトが外宇宙からの恐怖を描く「闇に囁くもの」。二人の若きオカルティストが企てた心霊実験の招いた怖るべき結果は―。ヘンリー・カットナーの「ヒュドラ」。古代エジプトの邪神、異次元からの侵入者、クトゥルー、アザトースなど究極の魔道書〈ネクロノミコン〉に記された恐怖を描いたクトゥルー神話7編を収録。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mmvg
3
ラヴクラフト作「闇に囁くもの」がやはり1番だろうか。 恐怖への主人公の気持ちが、懐疑的だったり、恐怖に怯えきったり、恐怖の秘密に興奮したり、その時時に様変わりし、重なりあい、恐怖に対する複雑な心情を映し出している。 フランク・べルナップ・ロングの「食らうものども」も良かった。 まだ1回しか読んでないのでうまくはかけないが、描き出す恐怖に引きこまれた。 2015/12/13
Smith, Ordinary. Person.
2
ロングの代表的なクトゥルフ神話作品といえば『ティンダロスの猟犬』が挙がることが多いですが、『喰らうものども』も忘れてはならないでしょう。なぜなら、「初めてラヴクラフト以外の作家が創作したクトゥルフ神話小説」「オリジナルのクリーチャーを登場させた」「ブロックに先んじてラヴクラフトをモチーフとした人物を作中で登場させ、更にクリーチャーに殺させた」、とクトゥルフ神話の拡張の始まりという点で象徴的な作品だからです。9集はその『喰らうものども』を始め、ユゴスより来るものが登場する『闇に囁くもの』など7編を収録。2021/07/03
Fumitaka
2
クトゥルー神話の怪物だとヒュドラが一番怖い。一息に殺されるとか発狂するとかならまだ気が楽だが、ヒュドラに接続されて異次元世界で永遠に生かされ続け、しかもどうもガタノトーアの話のように慈悲深い狂気に囚われるという訳でもないようだ。『闇に囁くもの』は今読み返すと『インスマスを覆う影』と構造がやや似ている。ユゴスからのものはエイクリイに化けて主人公を騙そうとしたが、しかしエイクリイの方は、本当に必死に抵抗した挙句に斃れたのだろうか? ひょっとすると『インスマス』の主人公と同じく、「驚異と栄光」を選んだのでは?2020/05/05
海星梨
2
いちばんの読みどころは「闇に囁くもの」かな。全集で読んでるので二回目。「食らうものども」は内容はともかく文章が稚拙な感じがした。故に、あまりいいものを収録してないじゃないかと、そんなふうに思いつつ、最後の「闇に囁くもの」で、まぁ、言っちゃ悪いけど釣り合いがとれてるのかなと。2016/03/15
いいほんさがそ@蔵書の再整理中【0.00%完了】
2
**注)ホラー**クトゥルーネタの小説読解の為に9巻目読了。本巻の目玉は『闇に囁くもの』でしょう。しかし個人的には『喰らうものども』の方が印象深かった。じわじわと効いてくる恐怖を切実に描けていて、逃れることのできない恐怖や絶対的な死が迫ってくる中で人が如何に無力であるかを描き切ったと思っています。ホラーからラブコメまで出ているクトゥルー小説を読解したい方にお勧めします。2012/02/07