内容説明
20年代、華麗なるジャズエイジにアメリカンドリームの寵児としてその刹那的な人生を駆けぬけた悲しみの作家・フィッツジェラルド。本邦初訳を含む名作20篇を瑞々しい新訳でおくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
OHNO Hiroshi
3
作者自身が壊れていくということを知りながら読む。「旅立ち」完璧な男が、酒、女、などで壊れていく様は、哀切だ。2016/02/21
まゆまゆ
1
ギャツビーを読んだ時も書きましたが、この人の作品からは何とも言えない哀しさがにじみ出ている気がします。表題作の「わが失われし街」では、フィッツジェラルドが、本来なら他人には見せたくないはずの、「心身ともにボロボロの自分」「弱い自分」を躊躇いなくさらけ出しているように感じ、胸が苦しくなりました。2015/07/24
ぽこにゃん
0
なんとなく作者名に惹かれて読んだので、「グレート・ギャッツビー」の作者とは「訳者あとがき」を読んで知った。短編なのかエッセイなのか分からず、バラバラの寄せ集めの一冊というイメージが、作者のせいなのか訳者がそれぞれ違うせいなのか、これもあとがきを読むまで分からなかった。誤植ではないかという箇所もあり、少し信用できないでいた。でもこの本を読んだことで、「グレート・ギャッツビー」を読んでみようという気になり、「旅立ち」の村上春樹訳も読んでみたくなった。この作者のこれらの作品に今、出会えたのが良かったのだと思う。2013/05/17
nightowl
0
戦争の影や哀しみを含んだロマンチックさが印象に残る。大尉が訓練中に引き起こした事件を描く「戦争には行かなかった」(後味が非常に悪い)、フィッツジェラルドなりの悪女ものともいえる「最後の南部美人」が破綻が無く安心して読める中で気に入った作品だった。他にも過去の栄光を引き摺る中年脚本家のシリーズや、表題にもなっている代表的なエッセイなど幅広く収録されている短編集。晩年の痛ましさが胸に残る。また訳に関しては大方違和感なく読めるものの、編者本人の訳文で『アルコホル』となっている部分が妙に浮いている。2012/04/03