出版社内容情報
20世紀最悪の悲劇。カンプチア共産党は200万人近くを殺したと言われている。大虐殺を主導した7人を、詳細な証拠に基づき告発。
第2版へのはしがき
第2版へのまえがき
謝辞
日本語版へのまえがき
カンボジア地図
要約
序章 裁判への長い道のり
第1章 裁判はいつ始まるのか――カンボジア政府と国連の外交交渉――
第2章 虐殺はいかに行われたか
A カンプチア共産党の方針
1.前政権(クメール共和国政権)関係者の処刑
2.民主カンプチアにおける非共産主義者の処刑
3.党幹部の粛清
B 党の指揮命令系統
第3章 7人の容疑者
A 要約
B 容疑
1.ヌオン・チア
a. 証拠の分析
・ 党内での地位と役割
・ 供述調書
・ 末端党組織からの報告
b. 法的分析と結論
・ 個人としての責任
・ 上官としての責任
2.イエン・サリ
a. 証拠の分析
・ 党内での地位と役割
・ 演説と声明
・ 供述調書
・ 末端党組織からの報告
b. 法的分析と結論
3.キュウ・サンパン
a. 証拠の分析
b. 法的分析と結論
4.タ・モク
a. 証拠の分析
責任
1.個人としての責任
a. 犯罪の命令
b. 幇助および教唆
c. 共通の目的または共同謀議
2.上官としての責任
a. 上官としての責任論の本質
b. 上官としての責任の構成要件
・ 上官―部下関係の存在
・ 犯意
・ 防止および処罰の義務
クメール・ルージュ関係年表
訳者あとがき
●推薦●
著者の1人であるヘダー氏はカンボジア現代史の世界的な権威であり、92年から93年にかけてUNTACの分析部門で重要な役割を果した。
本書は、私の交渉相手だったキュウ・サンパンを含む7人のポル・ポト派幹部が、同国の20世紀最大の虐殺行為に深く関与していたことを、完膚なきまで証拠づけている。
明石康(元・国連カンボジア暫定統治機構〔UNTAC〕事務総長特別代表)
●第2版へのはしがき●
本書は、カンボジア史料センター(Documentation Center of Cambodia: DC-Cam)の戦争責任プロジェクトによって再版されたものである。この戦争責任プロジェクトは2001年4月に開始され、今ではDC-Camの中心的プロジェクトのひとつとなっている。このプロジェクトの活動は、スウェーデン国際開発協力庁(Swedish International Development Agency:SIDA)、オランダ、ノルウェー、イギリス各政府の資金供与によって支えられている。
このプロジェクトは2つの主要な目的をもっている。その1つは旧カンプチア共産党幹部の責任を裁く刑事裁判で証拠となる情報、史料を整理することである。いま1つは、元・党幹部への聞き取り調査を通して民主カンプチア時代とはどのよを手がかりに当時の幹部たちの行方を追っている。2001年のプロジェクト開始以来、聞き取り調査はすでに1000件を越え、クメール語によるインタビューの記録は約17000ページに及ぶ。
著名なカンボジア研究者のスティーブ・ヘダー(Stephen Heder)博士と国際的な弁護士のブライアン・D・ティットモア(Brian D. Tittemore)氏によって書かれた本書が再版されることは、上記のような戦争責任プロジェクトの中心的課題にこたえるものである。とりわけ本書は「クメール・ルージュ文書」を分析してゆく上で必要不可欠な資料となるばかりでなく、多くの党幹部による人道に対する犯罪の法的責任を追及するための手がかりとなるであろう。本書は、今日までにDC-Camやトゥールスレン虐殺博物館(Tuol Sleng Genocide Museum.もとは高校の校舎であったが民主カンプチア時代にS-21と呼ばれる治安機関本部が置かれた。現在は博物館として公開されている)その他の史料に依拠しておこなわれた研究のうちで最も精緻なものであろう。また本書は、依拠した史料がもつ法的証拠としての潜在的な価値をも明らかにしている。、さらに、戦争責任プロジェクトの一環をなす本書は、カンボジアにおける正義の追求と歴史の解