出版社内容情報
拉致事件は“被害者”であったはずの在日の精神や歴史認識を転回させた。北朝鮮当局と朝鮮総連の政策の真相が明らかに。在日を通して国際環境を見直す。
はじめに
Ⅰ「帰国事業」の前夜
阪神教育闘争と吹田事件──第二次大戦後の在日朝鮮人
西村秀樹(毎日放送)
対日占領政策/占領下に唯一出された非常事態宣言/阪神教育闘争の意義/済州島四・三蜂起と在日朝鮮人/朝鮮戦争勃発/朝鮮戦争と吹田事件/裁判結果
在日朝鮮人はなぜ帰国したのか──一九五九年の新聞から
Ⅱ 北朝鮮の在日戦略
【金相権インタビュー◎聞き手・金定三】
帰国同胞と朝鮮総連
北朝鮮における帰国者の処遇と朝鮮総連/「正道」とは/非正道の手法をとる共和国/帰国への道/隠蔽されていた真実/共和国執権層の政治的性格/「千里馬運動」の成果は各国の援助によって/スターリニズムの強化──唯一指導体系の確立/帰国同胞襲う受難/送り出した者の責任/帰国者の処遇改善のもつ意味
【洪祥公・金定三対談①】
朝鮮大学生指名帰国事件
はじめに/朝鮮大学へ/「一五〇日間革新運動」とは/選別された帰国学生/封じられた反対意見/朝鮮大学生集団帰国の目的は?/帰国学生たちの思い
【洪祥公・金定三対談②】
一九七〇~九〇年代
「合弁事業」「朝銀事業」について
デタント/カルカッタ帰国協定
◎北朝鮮と帰国者(一)──朝鮮戦争からの復興期
北朝鮮は労働人口を求めた/朝鮮戦争による北朝鮮人口の激減/軍事対決のなかでの復興/「経済復興三カ年計画」/ソ・中による復興援助/独裁体制の強化と在日朝鮮人の導入/「一人は万人のために、万人は一人のために」/農民の協同組合化/中国・合作社運動と並んで/「青山里精神、青山里方法」/金日成「帰国者は幸福」と語る/帰国者の数と出身地/帰国者は「模範生」となった
◎北朝鮮と帰国者(二)──「中ソ対立」から「文化大革命」へ
1「中ソ対立」と北朝鮮
▽ソ連の援助とその中断 ▽中国の援助と朝中条約 ▽「日本軍国主義に備える」 ▽経済建設の失速
2北朝鮮の政治路線転換と帰国運動
▽第四次党大会とその掌握力 ▽「思想闘争」を強調 ▽金日成思想のみが「革命精神」 ▽主体思想による国家運営──「三階層区分」 ▽「科学技術も金日成思想に立脚」 ▽「全人民の武装、全国の要塞化」 ▽一九六二年、党中央委員会の決定 ▽軍事対決を正面に ▽「全軍の幹部化」 ▽在日朝鮮人に何が期待されたか
3帰国運動と朝鮮総連
▽一九>在日朝鮮人年表(一九四五~一九七四年)
執筆者一覧
かれらはなぜ、金日成・金正日体制を支えたのか