内容説明
本誌は、慶応義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)における学術活動を広く世の中に伝える役割を担った論文報告集である。2003年度の特集テーマは「環境からの思考」となし、従来の環境をめぐる議論のうえに、新たな研究の地平を展望することを求めている。本号において採録された特集論文は8編となっている。それらの内容は環境を軸として、バイオテクノロジー、建築、都市計画、環境政策など、ミクロからマクロ・レベルまでを包括し、今日の環境に関する問題意識の一端を覗かせている。環境とは一義的に定義されるものではなく、複合し互いに関係しあう複雑系の中において多義的な相貌を示し、専門を違えた研究者の精緻な努力を積み重ねていって初めてその価値を知ることができるのである。
目次
特集論文(近・現代数寄屋建築に関する考察―「数寄屋建築家」中村外二の作品分析を通して;モロッコ・フェス旧市街の保全再生政策の展開―「住むための遺産」政策と空間形成;北東アフリカ地域における在来構法と土着材料の応用に関する研究―ジブチ都市部における日乾し煉瓦の活用に向けたスタディー;タイ法システムに対するモン族の適応戦略;国際環境保全の機能主義的パートナーシップ―ドナウ川流域の事例を参考に;Developing GIS‐Based Measurements of Urban Components for Urban Environmental Modeling;ネットワークコミュニティを基礎とした電子自治体デザイン;E‐CELL Systemを用いたバクテリアの環境応答のシミュレーション)
自由論題論文(条約の事後公布と国内実施―国際法の国内的妥当性を考える一側面として)