内容説明
日本浪曼派の言説戦略とは何であったのか?1930年代から1940年代にかけての文化動向に多大な影響を持った日本浪曼派の文学運動の思想と方法の解明を目指して、その代表的人物であった保田與重郎のテクストを“文学史”をキーワードとして読み解く。日本浪曼派の言説戦略を同時代内部に布置し、近代日本のロマンティシズムとナショナリズムの系譜の再構成を試みる。
目次
第1部 日本浪曼派と“文学史”の哲学(日本浪曼派の言説戦略―方法としての“文学史”;日本浪曼派の言説とジェンダー―“文学史”と“女性”表象;日本浪曼派と“古典”論の展開―“文学史”の哲学;日本浪曼派の“戦後”―「絶対平和論」と“文学史”の行方)
第2部 日本浪曼派とその思想的背景(日本浪曼派と“民芸”運動―“沖縄”というトポス;日本浪曼派と“差異”―幻想としての“郷土”;日本浪曼派批判の再構成―“民衆”という虚構)
第3部 日本浪曼派とその“文学史”的圏域(夏目漱石と日本浪曼派―“浪漫”をめぐる言説の系譜;ラフカディオ・ハーンと日本浪曼派―“日本的なもの”の系譜;芥川龍之介と日本浪曼派―“理性”への懐疑;日本浪曼派と一九三〇年前後―太宰治と安田與重郎の交錯;「近代の超克」の周辺―津村秀夫と“超克”論議の多様性)
著者等紹介
坂元昌樹[サカモトマサキ]
1968年生まれ。鹿児島県出身。東京大学文学部卒業。東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻単位取得退学。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員(PD)、熊本大学文学部助教授を経て、熊本大学大学院人文社会科学研究部(文学系)准教授。日本近代文学・日本近代思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。