出版社内容情報
いつの時代も読まれる夏目漱石の「こゝろ」、先生の死への果てしなき彷徨とは何だったのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
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19
先生は海水浴場で西洋人を連れているという近代の最先端を行く存在として登場するが、そこには何か暗い陰が垣間見える。小説の冒頭から漱石の訴えを感じた。Kの姿が偉大に映り、その言葉が尊く響いたという先生もKと同じ境地を胸に抱いていたのか。学問をすると理屈で考えるようになるが、自分の心は理屈で考えられないから先生は深く苦しむ。「私」は汽車の中で人間は一分、一秒ごとに変わって、それがどうしようもないということに気付く。先生の死をこえて生き残った「私」は子どもを儲け、父親となっているがそれは静との子なのであろうか。2021/09/20
Ted
6
<先生>の奥さんである<静(しず)>という女性がずっと謎であった。『こころ』の中で決定的な役割を果たしているのに、である。相変らず輪郭は霞んだままだが、その本質は見えた。それは「イノセント」ということだ。つまり、先生とKという2人の男を同時に捉えてしまうほどの魅力の源泉であると共に、2人の運命を破滅させた根源でもあるからだ。この言葉の両義性がそのことを物語っている。もしイノセントでなければ、自分に対するKの感情を意識したり、Kの自殺の真相を洞察できる筈なのだが、素直で無邪気な<静>にはそれができないのだ。2011/05/02
akaliuan
1
受け継がれてきた夏目漱石「こゝろ」論の記録2009/12/10
popon
1
レポートのために読了。結局何が言いたかったんだかよくわからないまま終わった。日本文学研究って不毛だ…。2009/12/18