内容説明
高二の裕美は、初めて最後まで付き合う援助交際を決意した。真夏の渋谷で出会った12万8千円のインペリアル・トパーズ。それを見つけた時、心臓のあたりが凍りついたような感じがしたからだ。欲しいものを、今、手に入れるため裕美は伝言ダイヤルにアクセスする…。援助交際を女子高生の側から唯一描き、新しい世代に爆発的な共感を呼んだ衝撃作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おしゃべりメガネ
162
本作が刊行されたのが96年で、発刊当時に読んで以来、23年ぶりの再読です。'援助交際'をテーマに女子高生四人組にスポットをあて、その中の一人「裕美」の1日を綴ります。時代は連絡手段として、まだポケベルが使われており、携帯電話も高校生はまだ持てていない頃です。そんなトキに'援助交際'の出会いの手段として使われていた『伝言ダイヤル』でのやりとりが時代を感じさせてくれます。とあるショップで見かけた指環に運命的な出会いを感じ、なんとしてもその指環を手に入れようと援助交際を選ぶ「裕美」。不思議な切なさが残りました。2019/11/17
あーさん☆花火大会が迫っています!!
46
高校で読んだ本。
Vakira
42
「ピアッシング」を読んで魅かれたのでこれを読んでみる。今から23年前の作品 龍版JK生態観察日記。今ではあまり聞かない援助交際で小遣いを稼ぐJK達。まだこの頃はポケベルで携帯は持っていない。持っている物、着ている物が自分の気分を上げる。そこには援助交際に対する善悪はない。4人のJK仲間のほぼ1日の話。JK視点で物語を書いているが、どんな気持ちで交際依頼するのか親父達の心理も知りたくなる。ミスチルの「everybody goes -秩序のない現代にドロップキック」もこの頃だろうか?ドロップキックする奴登場2019/09/11
水色系
24
なんかの本か雑誌でおすすめされてた。援助交際をする女子高生目線で綴られている。伝言ダイヤル、テレビの音等、物語の本編とは直接関係ないノイズのようなものが随所で垂れ流されてて、それが逆にリアルを際立てている。この話に出てくる女子高生の、「今が一番大事」という刹那的な思想。痛々しいし、やってることがいいとは思わないけど、切ない。2023/02/03
Taxxaka_1964
21
公開日に映画版を観て、その時は「HANA-BI」よりいいなと思ってた。久しぶりに読んだ村上龍は思いの外美しい小説を書いていた。国家と共同体、孤独と孤立について。女子高生の援交を通じて描かれる社会はひたすらに残酷で美しい。だが、キャプテンEOの純粋さとそれに負けない裕美のピュアさは幻想だと思った。2025/07/10
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