出版社内容情報
南麻布の高台にある家で青年たちを招き、文学談義を交わす若き未亡人。しかしそのメンバーが自殺して……。表題作を含む二編を収録。
【著者紹介】
作家
内容説明
老境にさしかかった夫婦と、早逝した息子の嫁が住む高台の家。まだ若く美しい未亡人は、その家に青年たちを集めて、夜な夜な芸術談義を交わしていた。しかし突然、その青年の一人が自殺を遂げて…。謎めいた家とミステリアスな女の秘密に迫る表題作と、女だけのアパートで発生した殺人事件の驚くべき真相を追う「獄衣のない女囚」。恐ろしい“悪女の業”を、清張が鋭い切れ味で描いた名作二篇を収録。
著者等紹介
松本清張[マツモトセイチョウ]
1909年、福岡県生まれ。52年発表の『或る「小倉日記」伝』で第28回芥川賞を受賞。56年に朝日新聞社を退社後、推理、歴史、社会小説など多岐にわたる分野で活躍。代表作に『点と線』『ゼロの焦点』など。67年に吉川英治文学賞、70年に菊池寛賞を受賞。92年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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TAKA
45
響かなかったなあ。二作とも上品な婦人達の戯れという感じです。当時は60代で老婆扱いなんだな。老いてなお盛んとす。2023/07/01
ナキウサギ
32
こんなオンナ達がいるのか、、息子が2年前に事故死した家に住む夫婦、同居しているのは息子の嫁であったオンナ、、未亡人と義理母との不可解な行動がヒト(男性)を狂わす。2話目の話も同じく、、こんなオンナもいるのか!とつぶやきたくなる。独特な登場人物ばかりの中に抜き出たとんでもないオンナがいる。どうかこんな女性には出会いませんように。
いづむ
11
表題の「高台の家」(思ったより短い)と「獄衣のない女囚」の二編が収録されています。どちらの作品でも穏やかで上品な表情に隠された欲望や鬱屈、恨み、羞恥のあぶりだし方が天下一品。初めて遭遇する語彙や表現も多くて、それを一つ一つ調べるごとに自分の世界に新たな光が加わるような喜びさえ感じました。こういうの、昔は本当に大衆小説という扱いだったんですか......?(震え)2022/05/26
ながのゆうこ
11
作者は女性心理もよくわかってる。ふとしたきっかけで自分の欲望に正直になった妻と病弱な夫の化かしあいや意外性が面白かった表題作、孤独な一人暮らしの女性の例えがおもしろい2作品目(偏見かとも思うが)、ともに少ないヒントを頼りにいろいろ予測して楽しむ作品だと思う。2017/12/21
さっと
9
「黒い画集」シリーズの続編として週刊文春に連載された「別冊黒い画集」というのがあって、単行本化に際して落とされた「獄衣のない女囚」がここで読める。女子棟の連中は戯れに「互いにその部屋を独房と見なし、女囚となぞらえる」公営の独身アパートが舞台で、こじらせてるような人ばかりのところに、殺人事件を契機に不可解な事件が連続して起こる。「高台の家」は資産家が舞台で、死んだ夫の両親とともに暮らす若嫁のサロンに集まる青年のひとりが自殺し波紋を広げていく。どちらも意外な結末で楽しめた。清張は女性心理も良く見てる。こわ。2022/09/11
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