内容説明
基地の島に連なる憎しみと暴力。それはいつか奴らに向かうだろう。その姿を目にできれば全てが変わる幻の虹の鳥を求め、夜の森へ疾走する二人。鋭い鳥の声が今、オキナワの闇を引き裂く。待望の傑作長篇。
著者等紹介
目取真俊[メドルマシュン]
1960年、沖縄県今帰仁(なきじん)村生まれ。琉球大学法文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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中玉ケビン砂糖
94
、この本は学校のレポート題材として読み込んだので思い入れがある、「カクテル・パーティ」や「水滴」「オキナワの少年」など、「オキナワ」と「在日」という問題を前面に押し出した社会派の作品が芥川賞を席巻した時代があった、これは見えざる「戦闘状態」を仄めかす内容だ、米軍兵士による性犯罪や軍備の安全面危惧などが問題視される一方で、軍用地料をせしめることで恩恵にあずかっているこちら側、というジレンマもある2015/03/13
ダイ@2019.11.2~一時休止
74
性と暴力の話。最後まで救われない内容ですなぁ・・・。2017/05/24
松本直哉
31
あまりの凄絶に時には本を閉じ、時には段落を飛ばしながらも、どうしても最後まで読まずにはいられない強い力。太い釘で固定された虹の鳥がいつか翼を広げて飛び立つのではないかと予期しながら。少女を暴行した三人の米兵の醜さに釣り合うのは、美しい言葉でも県民集会でもなく、それに釣り合う醜さでアメリカの子を吊るすことだという登場人物の一人のことばがあまりにも重くて受け止めきれない。どのような美しさも崇高さも、沖縄というアメリカに踏んだり蹴ったりの島では嘲笑の対象でしかないのだろうか。いつかは変わると信じるのは無駄なのか2019/04/03
燃えつきた棒
27
中学校で、ワルの上級生比嘉たちから日常的に暴力やカツアゲを受けていたカツヤは、いつしか比嘉の子分として生きて行くようになる。 現在は、比嘉から蟻地獄の穴に落ちた少女たちを預かって、その面倒をみるのが彼の仕事だ。 少女たちを買った男たちの写真を撮って、それをネタに金をゆするという比嘉の商売の片棒を担いでいるのだ。 だが、カツヤが少女に対して抱いたほんの僅かな同情が、カツヤと比嘉との間の溝を少しずつ拡げて行く。 美人局の元締めのような比嘉とそのパシリであるカツヤとの関係が、米軍に象徴されるアメリカと日本との→2024/07/17
aloha0307
22
圧倒的に陰惨な暴力&人間にある負の感情の極致...現代沖縄の裏側そのままを描き出します。警察の背後には沖縄をスルーして政府&在日米軍~この仕組みが厳然とある。誤解を恐れずに言うと、被害者意識だけでなく米軍からの用地提供料という部分もしっかり描いておりフェアの感。虹の鳥 って小鳥:アカショウビンちゃんのこと? 由布島に向かう牛車からほんの一瞬見えたことを懐かしく思い出します^-^綺麗で可愛くて、火の鳥かと思いましたよ。2018/03/08
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