感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Aminadab
24
やや体調不良で書架にあるこのシリーズを執筆順に再読。このシリーズは英国海軍軍人の立身出世物語なので島耕作にたとえられるが、この第一作(1937年)はキャラクター小説というよりストーリー性が強い。主人公は1807年にスペイン領中央アメリカの独立運動を支援すべくフリゲート艦一隻を率いてホーン岬を回航するが、年が明けるとナポレオンのスペイン王位簒奪があってこれまで敵だったスペインが同盟国となり、主人公は一転してこれまで支援してきた独立勢力を相手に戦うこととなる。木造帆船を駆使しての単艦、孤立無援の奮闘が読み所。2022/11/30
shiro
4
ホーンブロワーの5巻。でも刊行はこれが最初らしい。リディア号とナティビダッド号の死闘が大迫力。そこにレディ・バーバラとホーンブロワーの恋の予感も絡ませてロマンあり冒険ありととても面白い内容になっている。ホーンブロワーがもう三十歳。頭が切れ、勇気に満ち、とんでもなくストイックではあるものの自分に自身がなく疑心が強く見栄っ張り。その人間らしさが面白い。ブッシュ副長が心酔しているところに気付いていないのもなかなか楽しい。マリアとレディ・バーバラとの間は今後どうなるのかとても気になる。2017/12/02
けるぴー
4
リディア号とナティビタッド号の戦いを中心に、めまぐるしく移り変わる欧州情勢に振り回されるホーンブロワーの活躍を描くシリーズ五巻にして、もっとも古い一遍。これが1937年発表の作品であるとなると、どうやら文学はこの70年余りさほど進化はしていないと言わざるを得ない。波と風に支配された戦場で、雄雄しく戦う帆船の姿は、現代の戦場とはまた違った英知と機微に満ち溢れている。またそれを操る海の男たち、とりわけホーンブロワーという男の人間性が読者を惹き付けて止まない。手に取らない理由の無いシリーズだ。2011/04/14
tai65
3
星4・52012/12/15
コウ
2
本国から遠く離れた中米太平洋岸での死闘。時系列順ではシリーズ第5巻にあたるが、執筆年で言えばこれが最初。そのせいか、副長ブッシュとの関係などそれまでとの繋がりが少し不自然に感じるところはある。 海戦シーンの面白さ、陸での駆け引き、主人公の苦悩など、シリーズの醍醐味が満載。加えて特に本巻では、レディ・バーバラとの出会いとほのかなロマンスが色を添える。2021/09/24
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- 和書
- 天竺熱風録 祥伝社文庫