内容説明
動物は、体に必要な食物を「美味しい」と感じるように進化してきた。人間も例外ではない。人類の長い進化の歴史はほとんどが飢えとの戦いであり、そこでは「美味しいもの」が「必要なもの」だった。だが、いまの日本は「飽食の時代」といわれるように、突然、食物がありあまるようになった。そんななかで食欲の赴くまま食べ続けると、どうなってしまうだろう?ここで一度立ち止まり、動物たちの食に学んで現代人の「食」を考え直してみよう。
目次
第1章 食を決めるもの―食物ニッチ
第2章 遺伝子の散布―食べられることは増えること
第3章 味覚の不思議―なぜ甘いものに惹かれるか
第4章 薬の起源―生物間の競争が薬を生む
第5章 肉の獲得と分配―ごちそうを賢く手に入れる
第6章 “変わった”食べ物いろいろ
第7章 ヒトの食行動―ヒトの“食べる”を考えよう
第8章 食の現在―現代文明と食生活
著者等紹介
西田利貞[ニシダトシサダ]
(財)日本モンキーセンター所長。理学博士。1941年生まれ。1969年京都大学理学研究科動物学専攻博士課程修了。東京大学理学部助手、講師、助教授を経て、1988年より京都大学理学部動物学教室教授。2004年3月退官し、4月より現職。1965年以来、アフリカのタンザニアで野生チンパンジーの行動学的・社会学的研究に従事。ほかに、ニホンザル、ピグミーチンパンジー、アカコロブス、焼畑農耕民を研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
uka
0
おもしろかったです。比較行動学、しかも食に焦点が当てられていてぶれない分、タイトルよりも読みやすかった。甘味閾値はどの生物でもメスのほうが低いとか、興味深い。カマキリの生態も怖い・・・。論文だと味気ない印象でもこうして学術選書としてまとめるとカタチになって見えてきていいなあ。2015/04/22
もけうに
0
徹底したフィールドワークにより、多くの新鮮な知見が得られて面白かった。が、終盤作者の持論が大爆発するあたりでやや引き。あれのせいで、折角面白かった前半を台無しにしている。動植物の生態を観察し続けてきたからこその見解なのだろうが、あまり賛同出来ないなあ…。2019/06/07