内容説明
古代中国で発明された紙は、どのように世界中に広まったのだろうか?約2千年近い歴史を経て、製造法はどのように発展し、多様化し、大規模化したのだろうか?そして紙は、製造法の近代化の過程で深刻な公害を生み出したこともあったが、それを克服し、我々の生活の隅々にいきわたってきた。紙とその原料となるパルプの科学を基礎から論じて、身近でありながら意外と「正体」を知られていない「紙」たちの様々な顔を描き出す。
目次
紙・パルプとは
パルプ用材としての木材の特徴
パルプの製造
パルプの漂白
環境および公害対策
紙料の調成
抄紙工程
紙の加工
紙の基本的特性値とその構造
紙の物性
紙の用途としての印刷、コピーと印字
和紙の特徴
著者等紹介
山内龍男[ヤマウチタツオ]
1947年大阪府生まれ、農学博士、京都大学農学部林産工学科卒、同大学院博士課程修了後同大学助手を経て1995年より同助教授。この間紙の構造と物性に関する種々の研究に従事、なお1984年より2年間ニュージーランド政府招待研究者として同国紙パルプ研究機関(PAPRO‐NZ)で研究する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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砂の中のぴぃたぁ
2
紙の研究に関わる話が多く、とてもためになった一冊。研究で使用する機械の図や測定データが多く載っていて、理解しやすかった。個人的にはにじみ、インクを含めた印刷に関わる話がとても面白かった。2015/05/13
はせがーとも
0
製紙の各工程についてまんべんなく学べる。IT化でも紙媒体は棲み分けされて需要が減らないとか、製鉄と製紙を並べて語ったり、筆者の製紙への愛が行き過ぎているのも否めない2024/02/15
けっと
0
紙の製造法や物理的性質について手広くまとめ、最後に印刷用紙や和紙の性質を簡単に紹介しています。「紙の両面で性質が多少違う」「環境の湿度に応じて紙の水分量が割とすぐ変わる」といった知識が求められている人が最初に読むべき本だと思いました。ところで日本では紙物性の研究がほとんどなされなくなったようで、著者は自身を「生き残った最後の一人になってしまった感がある」と記している。確かに紙の科学に関する書籍を探してもあまり見つからない。本書の次に読むのがちょうど良いレベルの本があればいいなと思っている。2023/10/29
mokosan
0
しばらく時間をかけて読んでいた。面白いので読みたいのに、なかなか進めない苦しさがあったかな。十分は読めていない気がしており、また読みたい。2022/12/21
かつきち
0
かなりしっかりした妥協のない科学書籍。興味本位で軽く手に取れるものではなく、読むのにかなり時間がかかった。 紙・パルプの処理やそれによる耐久性や紙質の違いなど、大まかに理解したが詳細はついていけなかった。2020/06/14