内容説明
ローマ帝政下のシリアに生まれ異国ギリシアの言語に習熟した古代屈指の諷刺作家の全貌がついに明らかに。本邦初完訳。
目次
女神たちの審判
お傭い教師
アナカルシス
メニッポスまたは死霊の教え
ルキオスまたはロバ
哀悼について
弁論教師
偽預言者アレクサンドロス
肖像
著者等紹介
内田汐[ウチダツグノブ]
大阪大学大学院文学研究科教授。1952年愛知県生まれ。1979年京都大学大学院文学研究科博士課程修了。2006年光華女子大学文学部教授を経て現職
戸高和弘[トダカカズヒロ]
大阪大学非常勤講師。1960年福岡県生まれ。1991年大阪大学大学院人文科学研究科博士課程修了を経て現在に至る
渡辺浩司[ワタナベコウジ]
大阪大学助手。1962年東京都生まれ。1998年大阪大学院人文科学研究科博士課程修了。大阪歯科大学非常勤講師、大阪市立大学非常勤講師を経て現在に至る(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
5
真理の探究は肯定の道より否定の道を辿るとよい。その役割が喜劇や風刺にあるようだ。が、否定の道は、自分の中にもある何かを取り出して検討する方法であり、他人事として突き放たり対立を作る態度ではない。ソフィストだった自身のソフィスト性を見据えつつ「哲学者」を批判する「お雇い教師」、非論理的な風習を批判する「哀悼について」は、真理と非真理が切り離せず、どうバランスを取るかという問題を提起するように見える。「偽預言者アレクサンドロス」ではペテン師であり魔術師の男を正確に描写しようと試みて、現代の歴史書にも似てくる。2022/06/20
刳森伸一
3
風刺文学作品を9篇収録。全体的な感想は前に読んだ3巻目と一緒だが、こちらの方がバラエティに富んでいる感じ。本巻の『偽預言者アレクサンドロス』は、岩波文庫の『遊女の対話』でも読んだけど、やはりいい。2015/07/31