内容説明
人々の間で発生する利害対立を調整する役割を担う組織、利害対立を抑制するために人々が集団で自らの行動に対して課す制約としての制度。これらは今やミクロ経済学の中心的な研究対象となった。本書では組織と制度を分析するための最新の手法を、メカニズムデザインや契約理論のみならず、協力ゲーム理論、被験者・計算機実験、構造推定を含む幅広い内容をカバーしつつ、紹介する。
目次
ミクロ経済学のフロンティアを求めて
第1部 制度設計の諸問題:環境条約、ベイジアン遂行、取引構造(クリーン開発メカニズムのミクロ・ゲーム分析;ベイジアン遂行理論;市場のミクロ構造理論における情報ベースモデル)
第2部 組織の経済学における課題:サーチ市場とホールドアップ問題(契約とサーチ;ホールドアップ問題は契約により解決できるか:動学的考察)
第3部 組織における交渉:協力ゲームの理論と被験者実験(古典的協力解と提携ゲーム;重み付き投票実験における提携形成)
第4部 その他の分析手法:進化ゲーム、シミュレーション、構造推定(事前コミュニケーションによる均衡選択:進化ゲームアプローチ;ミクロ経済学理論におけるコンピュテーショナルアプローチ;マッチングゲームの顕示選好分析)