内容説明
われわれの自然本性はどのようなものか。ゼノンの思索もまた、アリストテレスによって開かれたこの問いの地平を動いている。ゼノンは、人間の自然本性は宇宙全体の自然本性と連続的であると考えた。「自然本性(ピュシス)」という概念を介して、人間と世界とを共通の場で考えることができるようになったのである。これはストア派にとりわけ顕著な思考である。ストア派創始者たちの思想断片を、最新の研究を踏まえて整理編纂。その全貌が、いま甦る。
目次
第1部 ゼノン(ゼノンの生涯と著作;ゼノンの思想;ゼノンの短評)
第2部 ゼノンの弟子(キオスのアリストン;アポロパネス;カルタゴのヘリロス;ヘラクレイアのディオニュシオス;キティオンのペルサイオス;アッソスのクレアンテス;スパイロス;初期のストア派のある人々)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
6
ギリシアからローマへと移る動乱のヘレニズム世界に生きたストア派にはまとまった資料がないという。本書も後年の著者達が記録した諸断片の集成であり、本巻は自身の思想を講義した彩色回廊(stoa poikilē)から派の名がついたキティオンのゼノンと弟子達の言行が収録される。商人として生きたゼノンは土着的な神話をベースとした理論哲学を脱し、偶然や困難、衝動、欲望、感情、快不快に対する忍耐を通して生まれる個々人の平穏を説くコスモポリタン的思想を提起し、哲学を論理学、自然学、倫理学に分類して特に倫理の実践を重視した。2019/07/12
戸田健太朗
0
断片から類推するしかないなんて高度すぎる。完全に資料集。2009/09/30
やまうち
0
⭐︎92022/07/31
暁
0
クレアンテスが好き。