内容説明
知っていますか?日本の97%のメス牛たちは、牛舎に一生閉じ込められて輸入穀物を食べていることを。一方、一年中昼も夜も、山地(やまち)に牛を放す山地酪農家がいて、彼らがつくる牛乳は、安全で、四季の味がすることを―。山地酪農に生きる「山の哲人」酪農家たちのリポート。
目次
1章 山地酪農にであう(牛が天寿を全うできる牧場;「酪農」の落とし子 ほか)
2章 「エコロジー牛乳」の誕生(家族をつくる;厳冬の夜も放牧 ほか)
3章 メス牛は訴える(「アウシュビッツ」化した畜舎;セックスすることを奪われた牛 ほか)
4章 山地に生きる「哲人」たち(猶原恭爾さんの教え;山地酪農をひっぱる賢者たち ほか)
5章 酪農の川上から川下まで(統一ブランド「四季むかしの牛乳」;牛乳プラントを建設する ほか)
著者等紹介
古庄弘枝[コショウヒロエ]
ノンフィクションライター。大分県国東半島育ち。インド・ネパールひとり旅のあと、編集・ライターの仕事に就く。現在、『I女のしんぶん』(I女性会議発行)などに記事(日本で暮らす外国人女性の取材記事・女性酪農家の取材記事など)を寄稿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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dowalf
8
「山地地帯で放牧草地の牧山をつくり、日光をエネルギーとして無機物から有機物の草を創造し、それを乳牛に処理させ、牛乳・牛体を生産する」…機械化・髙泌乳が当然とされる日本の酪農ですが、この本に出てくる考え方は全くの逆でした。また、JAの仕組み、酪農関連の補助事業、牛乳の出荷基準等、酪農を取り巻く現状についても勉強になる一冊。人にも牛にも優しく、安全でおいしい牛乳が生産できるという理想的な方法に感心する一方で、山地酪農ではない一般的な「酪農」を営む農家さんが日々どんな気持ちでいるのかが気になってしまいました。2014/05/13
けんとまん1007
1
いのちをいただく。この基本的なことを考えさせられます。動物福祉という言葉を始めて知ったが、もっと認知されるべき言葉だと思う。山地酪農の意味を知り、衝撃とともに希望も見出すことができる。2010/03/20
ひろ
0
人がほとんど世話をしない山地酪農の牛が出す乳はそれでいて工業的に管理された牛が出す乳よりもはるかに美味しい。しかし乳脂肪分の基準やホモジナイズなどの工業的な生産を前提とした壁によって一般的な牛乳の流通経路からは弾き出される。山地酪農は楽だが、それを上手く回していくには過酷な牛との生活があり、また社会的圧力に屈しない覚悟も必要となる。2013/07/31
tsumargarine
0
理にかなった酪農法だと思う。始めるときが大変そう。山地酪農も含め、酪農家が自由に方法を選んで責任持って生産を行えるような制度を考えるべきだと思った。2010/11/27
kurokuronekotan2
0
本当のことが分かって、良かった。牛乳のあり方を考えさせられます。2009/07/24