内容説明
この『四記』は地域的には、江蘇省のほぼ全域を含み、時間の点では、1983年から1984年の2年間にわたる。この地域は中国国内で経済的にかなり発達した地域であり、この時期はまた中国が農業体制の改革を行なっていた時期、すなわち生産請負責任制を行なって成功を収め、郷鎮企業が急速に発展していた時期にあたる。本書は、このような地域の、このような時期における農村経済の歴史的な記録であると言ってもよい。
目次
小城鎮 大問題
小城鎮 再探索
小城鎮 蘇北初探
小城鎮 新開拓
江村50年
費孝通小伝
感想・レビュー
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中国を代表する社会学者(人類学者)が農村の工業化の過程を観察した本!費孝通の本は初めて読んだが、結構おもしろかった。今までの分類とは全く別の枠組みで分類をできることが良い社会学者の条件の一つなのであろう。農村で育ったことの無い費孝通が農村研究の第1人者となったことからも、社会学の観察にはある程度の他者性が必要なことがわかる。費孝通が社会学者を志した理由として「医者になっても一人の病を治せるだけだが、社会学を学べば万人の病を治せる」と述べたそうだが、これは魯迅に通じるところがある。2017/11/03