目次
映画亡命者の日記
アメリカ映画の主流と支流
シネマ・シガレッタ
映画的記憶の再配置
孤独者のテレパシー
一期一会
著者等紹介
粉川哲夫[コガワテツオ]
1941年東京生まれ。メディア批評家。上智大学、早稲田大学で現代哲学を学ぶ。80年代に小さなFM送信機を用いた「自由ラジオ」を提唱。84年ごろから電子メディアによるパフォーマンス活動を開始。和光大学、武蔵野美術大学、東京経済大学でユニークな教育実験も行なった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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踊る猫
29
読み返す。粉川の本に触れると、やはりその勤勉さに唸らされる。『シネマ・ポリティカ』もそうだったのだけれど量を観ていて、しかも映画だけに留まらない教養がベースとなっていることに圧倒されてしまうのだ。アメリカ滞在の経験を伝家の宝刀として持ち出すあたりはまあご愛嬌と受け取りたい。しかし、シネフィルの批評のように映画を愛して語っているというよりはもっと粉川のスタンスはシャープでドライ。映画を利用してなにかを語りたいという欲望に動かされているように思われる。もちろんそれを悪いとは言いたくない。この批評、使えないか?2020/02/13
踊る猫
25
手堅いアプローチで分析される映画の数々。こちらの不勉強により未見のものも多く、それらを観てからでないと語れないのがもどかしい。別の言い方をすれば、そういう未見の映画にこちらを誘うだけの力がこの評論集にはあると感じられる。喫煙を扱ったトピックで『スモーク』を扱わないのはやや片手落ちという感もなくはないが、そこが粉川哲夫らしいとも思われる。本書の内容を咀嚼出来たとは言い難いので再読が必要だろう。『無縁のメディア』で名を知り挑んでみた単著だったが、時代遅れ/オワコンなんかではない知識人の姿がここにあると思われた2019/03/13
JunTHR
1
恥ずかしながら(という前置きを付けるのも恥ずかしいけど)初めて粉川哲夫という人の文章を読んだ。めちゃくちゃ面白かったです。ストーリー、演出、映像、編集、音、作家性、そして時代性と社会性と作品との連関、それら全てに対してバランスよく言及する、そして極めて明快なその語り口にずいぶんと引き込まれた。映画の中の煙草について書かれた章、「シネマ・シガレッタ」など抜群。未見作品について書かれたものに関しては、鑑賞後に改めて読んでみたいと思ったので、丁寧な作品解説と索引付きなのが素晴らしい。2014/03/24
rx8omusubi
0
はじめに で、「マトリックス」と「ファイト・クラブ」にふれられていて、一気に内容に引き込まれる。なかでも、「アメリカ映画の主流と支流」は、ハリウッド作品を観てゆくうえで「必読」といった感じがしますよ。2013/12/12