内容説明
音楽史上ただ一人の天才、モーツァルト。その音楽と愛に彩られた短くも華麗なる35年の生涯。
著者等紹介
シェファー,ピーター[シェファー,ピーター][Shafer,Peter]
1926年、リヴァプールに生れる。処女戯曲「五重奏」(1958年)がロンドンとニューヨークで上演され、大ヒットする。続いて「自分の耳」「他人の目」(1962年)を発表。(「他人の目」は「フォロー・ミー」の題名でキャロル・リード監督、ミア・ファロー主演によって映画化されている)スペインの探険家フランシスコ・ヒサロのインカ帝国征服を題材とした「ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン」(1964年)、「ブラック・コメディ」「ホワイト・ライズ」(1965年)、「シュライウィングの戦い」(1970年)、と話題作を次々に発表。そして「エクウス」(1973年)、「アマデウス」(1979年)は世界的に大ヒットし、今日に至る
江守徹[エモリトオル]
1944、東京生まれ。俳優(文学座所属)
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感想・レビュー
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Gotoran
43
若かりし頃、映画『アマデウス』を観て、演奏されていた樂曲に圧倒された。最近、吉田秀和著モーツアルト関連作品を読んでいたことから、良く行く図書館で偶然目にした本書。モーツアルトの音楽と愛に彩られた短く儚くも華麗な35年の生涯を描いた、映画版の原点の戯曲版を読んでみた。あまりにもモーツアルト像を美化しすぎていた中で、映画でのモーツアルトの行動・振る舞いに失望した記憶が甦ってきた。今では奇妙な行動を含めて好きではあるが。2019/06/27
藤月はな(灯れ松明の火)
15
桑原水菜作品でも言及されていたので興味を持って読みました。俗世の名誉を着飾り、お菓子を貪るサリエリと対照的に下品且つ傲慢でもあり、世間知らずだが才能に魅入られたアマデウスことモーツァルト。サリエリは音楽を理解する才能は秀でていたためにアマデウスの天賦の才能を見つけ、絶望した。努力をして一時、名を残しても後世にも残る天才の偉業には風の前の塵にも等しい。サリエリが諸行無常ということを悟っていたならばこんなにも苦悩しなかっただろうか。神を呪うサリエリと神の救いがないから亡き父に縋ろうとしたアマデウスが印象的。2012/09/18
メルコ
4
ナショナルシアターライブで観劇してから再読してみた。膨大な史実を元に、想像力豊かな世界を作り出している。天才に対する嫉妬から狡猾な罠に嵌めようとするサリエリ。年老いてから自分が殺したと告白する。音楽史上に輝くモーツァルトが実は軽薄なキャラクターで、次第に貧困、父の亡霊に怯えていく姿は息を呑むものがある。2018/07/23
日々珠
3
嫉妬を芸術化。「これが『嫉妬』か」と片鱗で気づくようになったのは、この作品の朗読を聴いていたおかげ。恐ろしいけれども生気あふれる台詞に「ここまで言うか」と気が遠くなりました。泣き、覚え、無感覚になるほどカセットテープで聞きました。強烈な予防注射でしたが、平常心への効き目が確かにありました。
のほほんなかえるさん
3
すごい緻密な舞台だったのだろう。狂気があふれている。圧倒的なセリフの質感。なのにどことなく切なくなる。映画とはまた違った味わいがある。蛇足:あとがきに、この戯曲を訳者に紹介した人として飯沢匡の名前を見てふふっと笑い、翻訳のアドバイザーに松岡和子の名前を見てニンマリした。2011/06/03
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