内容説明
『不思議の国のアリス』を出版して一年半程のちの一八六七年のロシア旅行記。
著者等紹介
笠井勝子[カサイカツコ]
1942年生まれ。青山学院女子短期大学から明治学院大学、同大学院、文学修士。活水女子短期大学、文教女子短期大学部を経て、文教大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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黒豆
12
1867年の夏、ルイス・キャロルは、同じオクスフォード大学クライスト・チャーチ学寮出身のリドゥンに誘われ、ロシア旅行へ出かけた。リドゥンはソールズベリ大聖堂の司祭であり、ロシア正教の大主教との会談を目的としていたため、二人の訪問先は教会や聖堂が多い。ロシア正教とキリスト教の和合という使命に燃えるリドゥンに対し、人生最初で最後の海外旅行を心から楽しむルイス・キャロルの姿が面白かった。日本にも友好的だったプチャーチンが、エルミタージュ美術館と冬宮殿へルイス・キャロルを親切に案内する日記が興味深かった。2014/09/05
evifrei
7
クライスト・チャーチの先輩であるリドゥンの伴として訪れたロシア滞在記。キャロルにとっては生涯唯一の外国訪問だったらしい。旅の高揚感が文体からも溢れている。像の数や階段の段数を数え、物の大きさ・長さや塔の高さを考えるという何とも数学講師らしい記述や、些細なことまで観察しスケッチを残すという、まさに『キャロルらしい』滞在記になっている。好奇心に溢れたキャロルの姿や、些細なことにむきになるエピソード(たまごの調理法法をシェフと問答したりなど)は、本人は真剣そのものなのだろうが、なんとなく和やかでユーモラスだ。2019/12/06
晴天
0
1867年のルイス・キャロルの旅行記。当時のキャロルが意識していたであろう文物から持って回った言い回し、ロシア語やフランス語、ドイツ語の断片など難解な記述を翻訳するのは並大抵のことではなかったようで、後半はまるごと注釈に充てられているのが翻訳者の苦労を思わせる。また、ルイス・キャロル自身も言語では苦労しており、絵を描いたり、ロシアでたまにフランス語をしゃべる人間がいると下手な(講習を何回か受けた程度という)フランス語でやりとりしているのが、なんとも大胆な旅行だったことを思わせる。2018/12/26
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