内容説明
高村光太郎は、詩人としても、彫刻家としても一流だった。かれは伝統的な日本の精神的風土の中に成長し、若くしてアメリカ、イギリス、フランスの生活を経験し、独自の近代的自我を確立する。しかし日本の社会は、多く封建的な制度や道徳を残していて、かれをいれなかった。かれは自我を生きようとしてあらゆる旧体制と衝突した。ある場合には、それはデカダンのかたちとなって現れる。デカダン、智恵子との恋愛、結婚、彼女の発病、死、そして太平洋戦争、敗戦、東北の山小屋での七年におよぶ生活と、七十四年のその一生は、いつも自ら進むべき道を求め、妥協することのなかった偉大な生涯だった。『道程』『智恵子抄』『典型』などの詩篇は、いつの時代にも、青春の日の貴重な糧となるであろう。
目次
第1編 高村光太郎の生涯(宿命;ヨーロッパ留学;美に生きる;智恵子の死;モニュマン)
第2編 作品と解説(詩人光太郎の誕生;道程;雨にうたるるカテドラル;猛獣篇;智恵子抄;典型)
著者等紹介
福田清人[フクダキヨト]
1904(明治37)年長崎に生まれる。1927年東京帝国大学文学部国文科卒。立教大学教授をへて、実践女子大学教授、日本近代文学館常任理事を歴任。1995年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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