内容説明
天皇制を頂点とする日本ナショナリズムの起源に、はじめて社会科学のメスを入れた「日本資本主義論争」。異端の「講座派」・小山弘健による「論争」全体を見渡す最良の入門書。巻末に2000余の論争史文献目的を付す。
目次
第1章 序論―資本主義論争の意義と前提
第2章 論争前史(一九三〇‐三一年)
第3章 論争本史(一九三二‐三七年)
第4章 論争後史(一九三八‐四五年)
第5章 結論―資本主義論争の現代的意義
補論 資本主義論争の現段階
附録 青木文庫版『日本資本主義論争史』(一九五三年)より
著者等紹介
小山弘健[コヤマヒロタケ]
1912‐1985。大阪府生まれ。天王寺商業高校卒。船員として働きながら『資本論』ほかマルクス主義文献研究に打ちこむ。戸坂潤に認められ唯物論研究会機関誌等に論文を多数発表。『近代兵学』(1938年、本郷弘作名)を処女刊行。大阪市立大、静岡大法経短大部講師を経て、1968年本州大学(現・長野大学)教授
山崎隆三[ヤマザキリュウゾウ]
1920‐2011。大阪府生まれ。大阪商科大学卒。小山弘健が中心になって組織した社会経済労働研究所に拠り、共同研究を推し進める。1962年大阪市立大教授を経て、1981年名城大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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講座派からの日本資本主義論争史。講座派びいきなところがあるがすっきりまとめている。論争点の歴史としては論争時の農村経済の封建制を認めるかから、幕末における日本に資本主義が自製される契機があったかどうか過去の歴史観をめぐる論争へのシフト。労農派と講座派の違いとしては講座派は日本の特殊性を強調(ソ連の意見には従属してたが)、労農派は日本の特殊性を後発資本主義国一般の問題として捉えようとする指向を有す。講座派=共産党(二段階革命)学者タイプ、事実調査、労農派:社会党、知識人タイプ、一般理論。といった感じ。労農派2016/04/03