内容説明
資本主義はなぜ出現したか。「起源」は「行くえ」を照らす。従来のマルクス経済学の欠陥を指摘し、資本主義誕生の秘密を暴露し、その永続性の神話をうち破る。米ニューレフトの理論的旗手ウッド女史の迫真の論考。
目次
第1部 移行史論(商業化モデルとその遺産;マルクス主義の論争;マルクス主義の代替理論)
第2部 資本主義の起源(資本主義の農業的起源;農業資本主義から産業資本主義へ―その概略;モダニティとポストモダニティ)
著者等紹介
ウッド,エレン・メイクシンス[ウッド,エレンメイクシンス][Wood,Ellen Meiksins]
1942年ニューヨークに生まれる。1970年博士号取得。1967年から1996年までカナダのヨーク大学で政治学を教える。1984年から1993年まで『ニュー・レフト・レヴュー』の編集委員を務めたのち、1997年から『マンスリー・レヴュー』の編集責任者の一人となる
平子友長[タイラコトモナガ]
1979年一橋大学社会学研究科単位修得。現在、一橋大学社会学研究科教授
中村好孝[ナカムラヨシタカ]
1999年、一橋大学社会学研究科修士課程修了。現在、一橋大学社会学研究科博士課程在学
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感想・レビュー
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資本主義の起源をめぐる諸説は交錯しており、とくに世界システム論を提唱するウォーラーステイン派と、資本主義的な生産関係の構成を重視するブレナー派(政治的マルクス主義)のあいだで、明確な対立関係がある。ウッドはブレナーの特殊イングランド起源説に依拠しつつ、資本主義の起源を機能的に特定しようとする諸説を順次攻撃している。資本主義の起源をめぐる問いは、資本主義がなんであるかとという問いと不可分なのだ。そしてこのことは、最近のデジタルエコノミーの興隆をめぐる解釈にかんしても無縁ではないだろう。2022/06/12
エジー@中小企業診断士
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マルクス主義者が資本主義の矛盾を起源から説き起こす。技術的手段によって労働生産性を向上させる資本主義の原動力を説明するために労働生産性における技術的改良の継続的で自然な発展を前提にする循環論法を批判。資本主義市場は機会や選択ではなく強制。「商業化モデル」を批判。イングランドの農業的起源の特殊性をフランスの農業と対比させて論じる。「囲い込み」は多くの人々の生計手段であった共有的慣習的利用権を消滅させた。またロンドンの巨大化は基本的消費財の国内大衆市場を産み競争圧力が所有剥奪を駆動しプロレタリア労働力を搾取。2024/04/04
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- 和書
- 美術画報 〈no.40〉