内容説明
あらためて問う、華僑華人、僑郷の今日的意味。華僑華人と僑郷という、これら特殊な対象をめぐってはこれまで数多くの研究者が注目し、その両者の関係性についても特殊で特徴あるものとして描かれてきた。ここでは、その特殊性そのものを問い直すとともに、それらを特殊なものとしてきたもの、しているものにも着目し、これまで研究者のまなざしの外に見逃されてきたさまざまな事例をも掘り起こし、僑郷研究にまつわる枠組みの刷新、新たな視座と展望を提示する。
目次
1 「豊かな海外、貧しい僑郷」パラダイムの刷新(豊かな僑郷?―特殊性と一般性をめぐって;「僑郷」における移動の変化と変わらぬ「豊かな香港」イメージ―広東省汕尾の事例から;「移民」が支える神祇祭祀―福建省福州市の僑郷の事例から;華僑のいる村、いない村―珠江デルタにおける村落の歴史と移民)
2 海外から見た僑郷―再編される華僑と僑郷の関係(僑郷からの災因論―二一世紀における「古典的な」な風水事例より;「故郷の味」を構築する―マレー半島におけるハイブリッドな飲食文化;帰国華僑ネットワークの拡大と新世代の華人の新たな移動から見る「僑郷」の変容)
3 「新しい」僑郷(朝鮮族の移住者たちと中国の「故郷」―延辺朝鮮族自治州のある村落の事例から;「故郷」とのつながりの発見―マレーシア在住の広西人の活動を事例に;中国雲南省における“僑郷空間”の創出―紅河県を事例として)
著者等紹介
川口幸大[カワグチユキヒロ]
東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、東北大学大学院文学研究科准教授
稲澤努[イナザワツトム]
東北大学大学院環境科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。現在、尚絅学院大学総合人間科学部表現文化学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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